ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】
ー蒼天塔:闘技場ー
『あーあー、テステス。コホン、イッッッショタァァァイム!!レディース&ジェントルメン。さぁ、なんとなんと今夜スペシャルマッチだぁ!無敗記録更新中の男、盲目の闘士、物部十一!この男に挑もうっていう命知らずが現れたぁ!!アンビリーバボだろ、大馬鹿野郎だろ、さぁ……その命知らずの大馬鹿野郎の登場だぁぁぁ。』
実況の男がテンション最大のノリノリに叫ぶと
右側の選手登場口の扉が開いた。しかし、中々選手が出て来ない。観客がどよめきだしたころようやくその姿がヌッと現れる。
その姿はひと言でいうなら巨体。分厚く大きい巨人だった。身にまとっている道着は白ではなくて黒、袖口は引き千切られたように破られていてそこから伸びている肩幅、腕とも丸太のように太く岩肌のように硬質的だ。
しかし、何より目立つのは頭部。モヒカンの髪に顔にかぶっているのは般若の面。その面も道着と同じく真っ黒だ。この闘技場に立つ者は少なからず何処か異質的な者ばかりだが、この者の迫力と姿は群を抜いていた。
男は巨大な八角形の舞台に一歩、また一歩とゆっくりとあがり腕を組んでたたずむ。鬼が現れた、鬼が出たぞなどと観客席から言葉が落ちてくる。
『さぁー、現れたのは黒い鬼。マスクド・ザ・ブラックオウガ。黒般若ぁぁぁっ!』
実況の紹介にあわせて黒般若は腕を天へと突き上げた。怪物はノリが良いらしい。オオーっと歓声があがるが実況はそれを気にせず続ける。
『しかぁーし、しかぁーし、知っての通りここは弱肉強食、実力がなければどんな姿を持ってしてもまるで意味はなぁあい!ということで、盲目のモンスターと戦う前にまずはブラックオウガの見せてもらおぉぉ!!』
そう言い終わると対戦相手側の扉が開いて、これまた大柄の男が登場してきた。ボクサーパンツにシューズ。素人目でもひと目でわかるプロレスラーだ。
レスラーの男も闘技舞台にあがり首に巻いたタオルを捨ててブラックオウガの前で腕を組む。
『大相撲関脇上がりのレスラー剛力山だぁぁぁ!!』
まるで真似をするように自身の紹介とともにバッと腕突き上げて剛力山はアピールする。本物のプロレスラーの登場に観客の声援は一層熱気を増した。
そんなヒートアップする観客席側で冷静に見ていた三人。その中の雷太郎はペットボトルのコーラに口を着けていった。
「ここって本物のレスラーまで参加可能なのか?」
拳二はビールの注がれたグラスをゆっくりと掲げていった。
「金になるからじゃねーのか?格闘技っても裏は真黒だ。物好きな奴は出てくるだろ」
風太郎は呆れたようにいった。
「これもアンタの仕込み?先生の対戦相手は盲目の闘士じゃなかったのか?」
「俺ぁ、ちゃんとソイツと闘えるようにセッティングはしたさ。それ以外の事は蒼天塔側のやつらが勝手にし組んだことだろ。」
「「いい加減なヤツ」」
声を揃えて溜息をつく風雷コンビを他所に、もうひとり男が近づいてきて三人に声をかけた。
「なんだ、もう始まってるのか?」
「やっと来たのか寅。どこいってた?」
「十一に合って来た……なんだアレ?」
寅の問いに雷太郎が言った。
「レスラーの剛力山だ。見たことないのか」
寅は首を振って剛力山ではなく、その向かい側に立つブラックオウガを指さした。
「そっちじゃねぇよ。あっちだ、あっち、なんだあの般若面は」
「先生に決まってるだろ。リングネームはマスクドザブラックオウガ。」
「通称、黒般若」
自信満々に雷太郎、風太郎の順に答えた。いろいろといいたいことが有ったのだろう。寅は顔をしかめてブラックオウガこと道玄、雷太郎、風太郎を交互に見て何か言いかけたが頭を振って席に腰掛けた。
「まっ、いいから見てようぜ。レスラーが鬼を倒せるかどうかをよ。かっかっか」
拳二は下卑た笑いを浮かべていた。
『あーあー、テステス。コホン、イッッッショタァァァイム!!レディース&ジェントルメン。さぁ、なんとなんと今夜スペシャルマッチだぁ!無敗記録更新中の男、盲目の闘士、物部十一!この男に挑もうっていう命知らずが現れたぁ!!アンビリーバボだろ、大馬鹿野郎だろ、さぁ……その命知らずの大馬鹿野郎の登場だぁぁぁ。』
実況の男がテンション最大のノリノリに叫ぶと
右側の選手登場口の扉が開いた。しかし、中々選手が出て来ない。観客がどよめきだしたころようやくその姿がヌッと現れる。
その姿はひと言でいうなら巨体。分厚く大きい巨人だった。身にまとっている道着は白ではなくて黒、袖口は引き千切られたように破られていてそこから伸びている肩幅、腕とも丸太のように太く岩肌のように硬質的だ。
しかし、何より目立つのは頭部。モヒカンの髪に顔にかぶっているのは般若の面。その面も道着と同じく真っ黒だ。この闘技場に立つ者は少なからず何処か異質的な者ばかりだが、この者の迫力と姿は群を抜いていた。
男は巨大な八角形の舞台に一歩、また一歩とゆっくりとあがり腕を組んでたたずむ。鬼が現れた、鬼が出たぞなどと観客席から言葉が落ちてくる。
『さぁー、現れたのは黒い鬼。マスクド・ザ・ブラックオウガ。黒般若ぁぁぁっ!』
実況の紹介にあわせて黒般若は腕を天へと突き上げた。怪物はノリが良いらしい。オオーっと歓声があがるが実況はそれを気にせず続ける。
『しかぁーし、しかぁーし、知っての通りここは弱肉強食、実力がなければどんな姿を持ってしてもまるで意味はなぁあい!ということで、盲目のモンスターと戦う前にまずはブラックオウガの見せてもらおぉぉ!!』
そう言い終わると対戦相手側の扉が開いて、これまた大柄の男が登場してきた。ボクサーパンツにシューズ。素人目でもひと目でわかるプロレスラーだ。
レスラーの男も闘技舞台にあがり首に巻いたタオルを捨ててブラックオウガの前で腕を組む。
『大相撲関脇上がりのレスラー剛力山だぁぁぁ!!』
まるで真似をするように自身の紹介とともにバッと腕突き上げて剛力山はアピールする。本物のプロレスラーの登場に観客の声援は一層熱気を増した。
そんなヒートアップする観客席側で冷静に見ていた三人。その中の雷太郎はペットボトルのコーラに口を着けていった。
「ここって本物のレスラーまで参加可能なのか?」
拳二はビールの注がれたグラスをゆっくりと掲げていった。
「金になるからじゃねーのか?格闘技っても裏は真黒だ。物好きな奴は出てくるだろ」
風太郎は呆れたようにいった。
「これもアンタの仕込み?先生の対戦相手は盲目の闘士じゃなかったのか?」
「俺ぁ、ちゃんとソイツと闘えるようにセッティングはしたさ。それ以外の事は蒼天塔側のやつらが勝手にし組んだことだろ。」
「「いい加減なヤツ」」
声を揃えて溜息をつく風雷コンビを他所に、もうひとり男が近づいてきて三人に声をかけた。
「なんだ、もう始まってるのか?」
「やっと来たのか寅。どこいってた?」
「十一に合って来た……なんだアレ?」
寅の問いに雷太郎が言った。
「レスラーの剛力山だ。見たことないのか」
寅は首を振って剛力山ではなく、その向かい側に立つブラックオウガを指さした。
「そっちじゃねぇよ。あっちだ、あっち、なんだあの般若面は」
「先生に決まってるだろ。リングネームはマスクドザブラックオウガ。」
「通称、黒般若」
自信満々に雷太郎、風太郎の順に答えた。いろいろといいたいことが有ったのだろう。寅は顔をしかめてブラックオウガこと道玄、雷太郎、風太郎を交互に見て何か言いかけたが頭を振って席に腰掛けた。
「まっ、いいから見てようぜ。レスラーが鬼を倒せるかどうかをよ。かっかっか」
拳二は下卑た笑いを浮かべていた。