ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】

ー鳥居神社ー

風太郎「ふふっ。」

しかし、その予想は外れだった。

疾風鬼状態は相手の動きに感応して自動的に肉体が働く。読みに特化した鬼状態。

迅雷鬼状態は自分の意思で肉体を操作する。意識的に潜在能力の限界すら超越する動きを強制する鬼状態。

圧倒的「先の後」と「後の先」。

風太郎はその説明はしなかった。バラしてもいいと思ったが楽しみは取っておきたい。できれば、実戦に投入して披露したいと考えたのだ。

雲水「がはははっ」

紅「!?」

寅「!?」

風太郎「!?」

三人は突然聞こえた腹の底から震えるような笑い声にビクッと身体を硬直させ後ろに振り返った。いつの間に現れたのか百目鬼雲水がご機嫌な表情で立っていたのだ。

紅「いつのまに……」

寅「なにが怖いってこの図体で気配ゼロで現れやがるところだよな…」

雲水「がはははっ。疾風鬼状態と迅雷鬼状態どっちも実戦で投入できるレベルになってたぜ。なぁ、雷よぉ!」

雷太郎「……」

風太郎「雷!?」

よく見ると雲水の肩にはだらりと力なく雷太郎が担がれていた。少なくとも死んではいない。だけどそうとうボコボコにされた形跡が見られた。

雲水「まぁまぁ、積もる話は上でしようじゃないか、すぐに頂上だしな。がははは!」

風太郎「先生!雷をちゃんと持ってください!ああ!揺らさないで!揺らさないでくださいって!!」




ー鳥居神社:境内ー

雲水「どっこいしょぉっと」

風太郎「なんで先生が雷を担いでるんですか!雷は弩躬と闘る話しだったじゃないですか!」

雲水「あぁ、ソレなんだがよ。見てて滾って来たからオレが乱入したんだよ。がはははっ!」

風太郎「……」

紅「絶句してるな」

寅「まぁ、言ってることもやってることも無茶苦茶だしな…」

鳳「あら、お客さんが増えてるわね。なんかそんな気がしてお茶を多めに準備していて正解だったわ」

紅「っ……なんで、ここの人らは全員気配がなく現れるんだか」

風太郎「気にしたら負けだ」

鳳「ふふっ、粗茶ですがどうぞ」

寅「……客が増えてる気がしてぴったり全員分の湯飲み?」

鳳「ふふっ、勘が冴えてたのよ」

寅「……」

風太郎「あれ、そういえば弩躬は?」

雲水「あー……そのうち登ってくるだろ」

鳳「どうせなら、雷太郎君と同じように回収してきてくれたらよかったのに」

雲水「がはははっ。コイツはノックアウトしたが弩躬は逃げちまったからな」

紅「まぁ、鬼のおっちゃんと対峙したらとりあえず逃げるわな」

鳳「野生の熊と会うのと同じだもの」

雲水「がはははっ。畜生よりは話しが通じる方だぜオレは!」

風太郎「そのかわり適当すぎるでしょう……」

鳳「ふふふっ。それでそちらのふたりはどうしたの?お参りに来たって感じではないわね。お祓いかしら?」

紅「えーと、どれから話そうか」

雲水「好きなだけ話せ。話すのはタダだしな。がははははっ!」
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