ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】

ー蒼天塔:医務室ー

寅「……」

医者「ほい、できたよ。ま、出来たと言ってもシップ貼ってテーピングしただけだけどね。」

寅「どのくらいで完治する?」

医者「まぁ……一週間もあれば治るっしょ。一応医者(無免許)として言っとくけど、その手で殴ったりしないようにね。」

寅「……チッ。ヒビで済んだのは幸いだったけど……くそっ。あの時、蹴ればよかったぜ。」

医者「どうかな話を聞く限り鉄板仕込んでたんなら足でもやっちゃってたかもよ」

寅「ふんっ。蹴りなら鉄板ごと潰してやってたよ」

医者「あ、そう。それより治療費。えーと、三万円でいいや」

寅「湿布張っただけで三万かよ」

医者「レントゲン代だよ。」

寅「テキトーいいやがって。ほらっ」

医者「それでも払うんだ」

寅「金の借りは造らない主義なんだよ」

医者「カッコいいね。」

寅「うっせえ。」

医者「毎度あり~。まぁ違法な痛み止めとか欲しくなったらおいでよ。」

寅「いらねぇよ!」

医者「結構売れてるんだけどな。睡眠薬とか……」

寅「話にならねぇな」

医者「はっはっはっ」





ー蒼天塔:裏口ー

寅「さて…どうするかな。夜にならねーと十一の奴は現れないだろうし…………適当にブラブラするか」

妙見「おや、右京山君じゃないですか」

寅「ん?……あぁ、アンタか」

妙見「ご無沙汰しています。」

寅「あぁ。アンタこそ教師の癖にまだここに出入りしているのか」

妙見「ははっ、それは耳が痛い。それより、調子はどうですか?私の教えた技は役立ちましたか?」

寅「あぁ、確実に役だった。ムカつくヤツの胸に叩きこんでやった」

妙見「おぉっ、そうですか。それは教えた側としても嬉しいですね。」

寅「それでも細かい動作があるから威力不足は否めねぇけどな」

妙見「慈愛の掌は相手を叩きのめすような技ではないですからね。反省をさせるための技術です。南無阿弥陀仏」

寅「……アンタが仏門を叩いているのが一番ウソ癖ぇよ」

妙見「あはは。そればかりは実家が寺だったから仕方がありません。」

寅「そうかい……じゃあな」

妙見「これからどこかへ?」

寅「適当にブラブラする。あっ、そうだ」

妙見「はい?」

寅「アンタ、腹に鉄板仕込んだりハンマーとか振りまわすヤツに心当たりないか?」

妙見「おっしゃっている意味がよく分からないのですが?」

寅「そういう風に武器使ってる野郎に心当たりがないかって聞いてるんだよ」

妙見「いえ、ありませんね。」

寅「そうか。じゃあ、ついでにもうひとつ」

妙見「はい?」

寅「十一って盲目の闘士がいるだろ?アイツのことは何か知ってるか?」

妙見「あぁ、武器組の方ですね。詳しい事は何もですが、この近くでよく散歩しているらしいですよ」

寅「ふぅん……そうか。ありがとよ」

妙見「いえいえ。では、失礼します。」

寅「あぁ。」
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