ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】
ー蒼天塔ー
寅「……今何時だ」
紅「十一時五分前。なぁ、閉まっちゃうぞ」
寅「閉まっていいんだよ。最近は色々と問題視されてるからな……よし、閉まったな。こっちだ」
紅「なれてんなぁ……。」
寅「入れてくれ」
スーツの男「これはこれは、若寅様。どうぞ」
紅「わかとら?」
寅「……気にするな」
紅「分かったよ若寅」
ゴンッ!
寅「殴るぞ」
紅「な、殴ってんじゃん。」
ー蒼天塔:蒼天闘技場受付ー
寅「おい」
受付「はい?何でございますか?」
紅「(うーわ、黒服の超丁寧語ボーイだよ。)」
寅「今日は武器組の仕合があるだろ。どうなってる?」
受付「それなら終了しましたよ」
寅「なに?どういうことだ。」
受付「仕合にならなかった……ということです。」
寅「……そうかよ。まだ、残ってるんだろ?ちょっと面を拝みたい」
受付「どうぞ、ご自由に……。ただし、くれぐれも問題事を起こさぬよう。お願い申しあげます」
寅「ふんっ。いくぞ」
紅「あいよ」
ー蒼天塔:闘士控室ー
寅「ここだ。」
紅「すげぇな。ここに来るまでヤバそうにおっさんとかに何十人もすれ違ったぞ」
寅「半分は頭のおかしい客、半分はヤクザだ。」
ゴンゴン!
「開いているよ」
寅「邪魔するぜ」
紅「おっじゃまぁ」
坊主頭の男「おやおや、ずいぶんと若いお客だね。」
寅「アンタに聞きたいことがある。」
ザリッ
坊主頭の男「身長179センチ…体重63キログラム。フフ……下半身に肥満が進んでいる。」
寅「!?」
坊主頭の男「……かのようだがその実、足音から察するにかなりの身軽。鍛えこんでいる。右京山寅だね。」
紅「ひゅー」
坊主頭の男「ほう、そっちの子は大きいね。身長190センチ、体重は83キログラム。それと背中に鉄の棒を二本隠し持っているね。」
紅「一見しただけでよくそこまで分析できたな。しかもサングラス越しに」
寅「いや、紅……やつは。」
坊主頭の男「ははっ。別に見えているわけではないのだけどね。」
男はそういうと手元に置いてあった杖を持つとコツンっと床について椅子から立ち上がった。そしてコッコッと足元を叩きつつ近づいてくる。
紅「アンタまさか……」
十一「私の名は物部十一(もののべじゅういち)。生まれて一度も光を見たことがないんだよ」
彼はサングラスをずらして「紅」の「方を見た」。その目は開いているが何も「見えてはいない」目だった。
寅「洞察力か……視力以外のすべてを総動員した洞察力」
紅「マジかよ……。それも、盲目で闘士なんて……」
十位「プフッ。ベートーベンは耳が聞こえなかった。それでも曲を作曲し続けたんだよ。目が見えない闘士が居てもおかしなことは無いじゃないか」
紅「現代のベートーベンは偽物だったけどな」
十一「試してみるかい?偽物かどうか」
寅「……今何時だ」
紅「十一時五分前。なぁ、閉まっちゃうぞ」
寅「閉まっていいんだよ。最近は色々と問題視されてるからな……よし、閉まったな。こっちだ」
紅「なれてんなぁ……。」
寅「入れてくれ」
スーツの男「これはこれは、若寅様。どうぞ」
紅「わかとら?」
寅「……気にするな」
紅「分かったよ若寅」
ゴンッ!
寅「殴るぞ」
紅「な、殴ってんじゃん。」
ー蒼天塔:蒼天闘技場受付ー
寅「おい」
受付「はい?何でございますか?」
紅「(うーわ、黒服の超丁寧語ボーイだよ。)」
寅「今日は武器組の仕合があるだろ。どうなってる?」
受付「それなら終了しましたよ」
寅「なに?どういうことだ。」
受付「仕合にならなかった……ということです。」
寅「……そうかよ。まだ、残ってるんだろ?ちょっと面を拝みたい」
受付「どうぞ、ご自由に……。ただし、くれぐれも問題事を起こさぬよう。お願い申しあげます」
寅「ふんっ。いくぞ」
紅「あいよ」
ー蒼天塔:闘士控室ー
寅「ここだ。」
紅「すげぇな。ここに来るまでヤバそうにおっさんとかに何十人もすれ違ったぞ」
寅「半分は頭のおかしい客、半分はヤクザだ。」
ゴンゴン!
「開いているよ」
寅「邪魔するぜ」
紅「おっじゃまぁ」
坊主頭の男「おやおや、ずいぶんと若いお客だね。」
寅「アンタに聞きたいことがある。」
ザリッ
坊主頭の男「身長179センチ…体重63キログラム。フフ……下半身に肥満が進んでいる。」
寅「!?」
坊主頭の男「……かのようだがその実、足音から察するにかなりの身軽。鍛えこんでいる。右京山寅だね。」
紅「ひゅー」
坊主頭の男「ほう、そっちの子は大きいね。身長190センチ、体重は83キログラム。それと背中に鉄の棒を二本隠し持っているね。」
紅「一見しただけでよくそこまで分析できたな。しかもサングラス越しに」
寅「いや、紅……やつは。」
坊主頭の男「ははっ。別に見えているわけではないのだけどね。」
男はそういうと手元に置いてあった杖を持つとコツンっと床について椅子から立ち上がった。そしてコッコッと足元を叩きつつ近づいてくる。
紅「アンタまさか……」
十一「私の名は物部十一(もののべじゅういち)。生まれて一度も光を見たことがないんだよ」
彼はサングラスをずらして「紅」の「方を見た」。その目は開いているが何も「見えてはいない」目だった。
寅「洞察力か……視力以外のすべてを総動員した洞察力」
紅「マジかよ……。それも、盲目で闘士なんて……」
十位「プフッ。ベートーベンは耳が聞こえなかった。それでも曲を作曲し続けたんだよ。目が見えない闘士が居てもおかしなことは無いじゃないか」
紅「現代のベートーベンは偽物だったけどな」
十一「試してみるかい?偽物かどうか」