ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】

ー池袋界隈ー

紅「んー……いい加減、疲れたなぁ。流石に当てもなく捜すのは限界か……おっ!おーい、トラチー」

寅「……」
チラッ、フイッ…

紅「今、ちらっとこっち見たよな。」

寅「なんだコラ。喧嘩売ってんのか」

紅「いやいや、喧嘩はまた後日売るよ」

寅「舐めやがって……なんか用か」

紅「いいや、知った顔を見つけたから声掛けただけだ」

寅「……」

紅「そんな嫌そうな顔しなくてもいいだろ。トラチーこそ何してんだ?」

寅「別に……休憩中だ」
ぐぅ…

紅「……腹へってるのか?」

寅「……」

紅「じゃあ、なんかくわねぇ?俺も昼抜いててちょうど腹減ってるし」

寅「いらねぇよ」

紅「なんでだよ。今、腹なってたのに……あっ、もしかして減量中か?ボクサーだもんな」

寅「違う……金がないんだよ」

紅「金がないって、トラチーは蒼天塔で荒稼ぎしてるんだろ?」

寅「馬鹿言うな……稼いだ金はほとんど口止め料やら学費やらに消えてる」

紅「マジか」

寅「マジだ。大江戸学園は基本出入りは出来ないし、学費も安くねぇ。その代り卒業さえできればいいポストに着ける」

紅「へぇ、何気に真面目なんだなトラチー」

寅「はっ、真面目なヤツが闘技場で金のかかった喧嘩なんかするかよ」

紅「んー、じやあ、まぁ飯いこうぜ」

寅「あぁ?」

紅「牛丼くらいなら奢ってやるから。」

寅「誰がテメーなんかに奢られるか」

紅「ラーメンでもいいぞ」

寅「ラーメン……。」

紅「おっ、ラーメンがいいか。じゃあ、あそこだな」





ー和龍軒ー

あずみ「いらっしゃいませー」

紅「和龍すぺしゃる全部乗せ二つ」

千夜「あいよ。」

寅「……っで?」

紅「で?」

寅「お前は何をしてたんだ。どっかの鉄砲玉みたいにただほっつき歩いてたわけじゃないだろ」

紅「悠も酷い言われ方されてるなぁ」

寅「悠って言ったか?」

紅「違うのか?」

寅「間違ってねぇよ」

紅「だろー。っと、それは置いといて……端的に言うと人探ししてる」

寅「人探し?」

紅「あぁ、男か女かも分かんないヤツを捜してる」

寅「……どういうやつだよ」

紅「んー、それもよく分からん」

寅「……アホか?」

紅「いやいや、マジで。とりあえず分かってるの暗器使いかもしれないってことかな」

寅「暗器使い……待て、それなら当てがあるぞ」

紅「マジか?!」

寅「蒼天塔の武器派のやつにそういうのが居るって聞いたことがある」

紅「それは気になるな」

寅「……俺と一緒ならあそこに潜れるぞ」

紅「よし、行こう!」

寅「待て!」

紅「ん?どした?」

寅「ラーメン食ってからだ」

紅「あぁ、分かった分かった。」
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