ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】

ー拳神館:道場ー

雲水「いいだろう。お前が空手家というのは認めてやる。だから、俺も鬼として相手をしてやる。」

亮「い、いや……」

羅漢「亮、ガードはしっかりとしろ」

亮「んなむちゃな……」

雲水「前蹴りだ」

亮「は?」

雲水「前蹴りを今から仕掛ける。しっかりと受けろ3、2……」

亮「っ……!!」

雲水「ふんっ!!」

予告通りの正面からの蹴り。牽制(フェイント)を仕掛けるでもなくまともに……それを受けた瞬間、岡崎亮という人間は壁にぶつかっていた。

道場の広さは少なく見積もっても25メートルはある。人間を蹴ることが日常化している彼らであるが蹴り技により人が飛ぶ距離、限度、常識を知っている。岡崎亮の飛距離は常識からあまりにも逸脱していた。

亮「ふっ、ふふ……(まるでダンプカー防御は成功している……なのにこのダメージ)」

雲水「おぉ、意識あるじゃねぇか」

亮「う、動けません……けどね」

羅漢「だろうな」

雲水「がはははっ。雷、風、連れてきてやれ」

雷太郎「はっ」
ガシッ

風太郎「はっ」
ガシッ
ズルズル…
亮「……引きずってくなよ」

羅漢「ま、双方少しはいい経験になったんじゃねぇか?」

雲水「男は殴られ蹴られして成長して行くもんだ」

亮「成長し着る前の過程で潰れそうなんだけど」

雲水「不良品は弾かれっだろ」

亮「容赦ねぇ…」

雷太郎「偉そうな口は」

風太郎「自分で起きあがって」

雷太郎&風太郎「「言え」」

亮「無理、今起きあがったら内臓的なものが口から出る気がする」

羅漢「破裂しなくてよかったな」

雲水「骨の一本くらいは折る気でけっ飛ばしたんだがな。なかなかいいガードだったぜ」

亮「はは……どーも」

雲水「で、羅漢よ。もーちっとこいつらの面倒みてくれや。週2か3ぐらいで」

羅漢「そいつは普通にうちの道場に入ってくれねぇかな」

雲水「コイツら金ねぇんだわ」

雷太郎「無いな」

風太郎「無いね」

羅漢「普段どういう生活してんだ」

雷太郎「用心棒」

風太郎「カツアゲ」

亮「性質悪」

雷太郎「……」
ゲシッ

風太郎「……」
ゲシッ

亮「蹴るな!蹴るなッ!」

羅漢「お前が出してやったらどうだ」

雲水「あー……」

雷太郎「先生にはこれ以上」

風太郎「迷惑はかけられません」

雷太郎「なので蒼天塔で」

風太郎「稼ごうかと」

雷太郎&風太郎「「思っています」」

雲水「それは稼ぎが目的じゃなくて対戦相手が豊富なのがメインじゃねーか?」

雷太郎「……」

風太郎「……」

雲水「やっぱりか。却下だ。お前らは基礎、基礎、基礎、基礎漬だ」

雷太郎「そんなぁ」

風太郎「そんなぁ」

羅漢「ははっ。基礎は大事だぞ。小僧ども」
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