ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】
ー拳神館:道場ー
雲水「がっははは、手も足も出なかったな。いや足は出してたか。」
亮「笑ってる場合ですか……。すごい音しましたよ。心配じゃないんですか?」
雲水「このくらいで壊れるようなヤワじゃねぇよ」
羅漢「む?呼吸が止まっているな」
亮「ヤバいじゃないですか?!」
羅漢「おい」
雲水「そうだな。そっちを頼む」
羅漢は雷太郎を雲水は風太郎の上体を起こして背中に膝を当てて、グッとひきこんだ。ゴギッと音ともに息をしていなかったふたりがせき込んだ。
雷太郎「ごほごほっ」
風太郎「げほげほっ」
羅漢「蘇生完了」
雲水「おう、どうだ?」
雷太郎「一矢報うことも叶わず」
風太郎「隙を突くための布石もままならず」
雷太郎&風太郎「「でした」」
羅漢「いやー、お前さんらもなかなかだったぜ。加減ができなかったしな」
雷太郎「しかし、強い……」
風太郎「ほんと、強い……」
羅漢「かっかっか、これが空手道よ!」
雲水「いいか、この通り武とはこのとおり強い。武は戈(ほこ)を止めると書くように鬼状態って武器を止められちまっただろ。だから、お前らもそれに頼りきってるうちはどれだけお前らのコンビネーションが凄かろうと制される。ちゃんとそっちの方も学べ」
雷太郎「はっ!」
風太郎「はっ!」
亮「……」
羅漢「さて、それじゃあ次はこっちの弟子の番だな」
亮「……はっ?」
背中を押されて亮は一歩前に踏みだした。それに対して風雷コンビは壁際に引いて、巨大な鬼の背中が伸びた。太い首を何度かまわしてゆっくりと振り返る。
雲水「よぉーし、来い。少し早い鬼退治……やってみな!」
亮「無理無理無理」
羅漢「イケるイケる」
亮「軽い調子でいわんでくださいよ!」
雲水「そんなにビビんな空手しかつかわねぇよ」
亮「空手……できるんですか?」
雲水「できるぜぇ。まぁ……お前さんがちゃんと空手を使えたら俺も使ってやるよ」
亮「……それじゃあ、まるで俺が空手できないみたいな言い方ですね。」
雲水「がははっ」
羅漢「亮」
亮「はい?」
羅漢「戈を止めると書いて武だ。それは戈どころか怪物。本気でぶつけてやりな」
雲水「そうそう遠慮すんな」
亮「じゃあ……遠慮なく」
雲水「おう、来っ……」
亮の攻めは一流だった。頬のやや奧の舌根、左胸の雁上、右脇腹の稲妻、太ももの付け根の夜光、腰と膝の中間点辺りの伏兎。人体の急所、それぞれの部位を左右の拳、掌底、肘で撃ち抜いた。
亮「……っ」
雲水「ほぉ……こいつは驚いっ…」
急所らしいし普通の人間なら大ダメージであろうが……鬼は平然としゃべり続けようとした。構えも取らず隙だらけのままなのは変わらない。亮はそこに渾身の飛び膝蹴りを仕掛けたのだった。ほぼ垂直、真下から真上へと飛び上がり膝で顎を穿つ。流石の衝撃に頭ががぐんっと後ろに下がった。
亮「……マジか」
雲水「にぃ~」
鬼は笑った。今のさっき顎を全力で膝蹴りされたとは思えないほど愉快に……。
雲水「がっははは、手も足も出なかったな。いや足は出してたか。」
亮「笑ってる場合ですか……。すごい音しましたよ。心配じゃないんですか?」
雲水「このくらいで壊れるようなヤワじゃねぇよ」
羅漢「む?呼吸が止まっているな」
亮「ヤバいじゃないですか?!」
羅漢「おい」
雲水「そうだな。そっちを頼む」
羅漢は雷太郎を雲水は風太郎の上体を起こして背中に膝を当てて、グッとひきこんだ。ゴギッと音ともに息をしていなかったふたりがせき込んだ。
雷太郎「ごほごほっ」
風太郎「げほげほっ」
羅漢「蘇生完了」
雲水「おう、どうだ?」
雷太郎「一矢報うことも叶わず」
風太郎「隙を突くための布石もままならず」
雷太郎&風太郎「「でした」」
羅漢「いやー、お前さんらもなかなかだったぜ。加減ができなかったしな」
雷太郎「しかし、強い……」
風太郎「ほんと、強い……」
羅漢「かっかっか、これが空手道よ!」
雲水「いいか、この通り武とはこのとおり強い。武は戈(ほこ)を止めると書くように鬼状態って武器を止められちまっただろ。だから、お前らもそれに頼りきってるうちはどれだけお前らのコンビネーションが凄かろうと制される。ちゃんとそっちの方も学べ」
雷太郎「はっ!」
風太郎「はっ!」
亮「……」
羅漢「さて、それじゃあ次はこっちの弟子の番だな」
亮「……はっ?」
背中を押されて亮は一歩前に踏みだした。それに対して風雷コンビは壁際に引いて、巨大な鬼の背中が伸びた。太い首を何度かまわしてゆっくりと振り返る。
雲水「よぉーし、来い。少し早い鬼退治……やってみな!」
亮「無理無理無理」
羅漢「イケるイケる」
亮「軽い調子でいわんでくださいよ!」
雲水「そんなにビビんな空手しかつかわねぇよ」
亮「空手……できるんですか?」
雲水「できるぜぇ。まぁ……お前さんがちゃんと空手を使えたら俺も使ってやるよ」
亮「……それじゃあ、まるで俺が空手できないみたいな言い方ですね。」
雲水「がははっ」
羅漢「亮」
亮「はい?」
羅漢「戈を止めると書いて武だ。それは戈どころか怪物。本気でぶつけてやりな」
雲水「そうそう遠慮すんな」
亮「じゃあ……遠慮なく」
雲水「おう、来っ……」
亮の攻めは一流だった。頬のやや奧の舌根、左胸の雁上、右脇腹の稲妻、太ももの付け根の夜光、腰と膝の中間点辺りの伏兎。人体の急所、それぞれの部位を左右の拳、掌底、肘で撃ち抜いた。
亮「……っ」
雲水「ほぉ……こいつは驚いっ…」
急所らしいし普通の人間なら大ダメージであろうが……鬼は平然としゃべり続けようとした。構えも取らず隙だらけのままなのは変わらない。亮はそこに渾身の飛び膝蹴りを仕掛けたのだった。ほぼ垂直、真下から真上へと飛び上がり膝で顎を穿つ。流石の衝撃に頭ががぐんっと後ろに下がった。
亮「……マジか」
雲水「にぃ~」
鬼は笑った。今のさっき顎を全力で膝蹴りされたとは思えないほど愉快に……。