ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】

ー拳神館:道場ー

羅漢「まさか尋ねてくるとは思わなかったぜ……なぁ、百目鬼さんよ」

雲水「がははっ、俺はちょうどいいと思ったら即行動に移す男でなぁ!最初は道玄にでも頼むつもりだったが……昨日会ったのもなんかの縁だとおもってよぉ!」

羅漢「ったく、こっちの都合も考えねぇでよお。」

雲水「がはははっ。それじゃあ、紹介するぜ。」

羅漢「無視かよ」

雷太郎「空手着なんていつぶりに着たかな」

風太郎「先生のところだとジャージだったしね」

雲水「あっちが疾迅雷太郎、こっちが疾迅風太郎。俺の二番目に優秀な弟子ガキどもだ」

羅漢「一番は息子か」

雲水「がははっ。まぁ今のところはな。それにコイツらは二対一鬼(についいっき)だ。普通の奴とはタイプが違う」

羅漢「まぁ、鬼状態ってのを使える時点で普通のタイプじゃねーけどな」

雲水「がははははっ!細けぇことはいいじゃねーか。儂の弟子を面倒見てくれや」

羅漢「ふむっ。んー……まぁ、良いがよォ。」

雲水「そんじゃまぁ……軽ーく殺すつもりで手合わせしてもらえ」

雷太郎「……はっ」

風太郎「……はっ」

羅漢「かっかっか、軽く殺すつもりか……やれやれ。」

コンコン
亮「失礼します……って、なんすかこりゃ」

羅漢「おう、その辺りで見てな。」

亮「は、はぁ……」

雲水「がははっ。まぁ、こっちにいろ。こっちにそこにいたら邪魔だ」

亮「これ、どういう流れなんすか?」

雲水「んー……ヒマつぶしかな」

亮「ヒマつぶしって……。」

雷太郎「……」

風太郎「……」

羅漢「……」

亮「……なんで、誰も構えないんだ?」

雲水「出ないんじゃなくて出れない。まぁ、正しく言うと……構えれない」

羅漢「……」

雷太郎「参ったな…。」

風太郎「参ったね…。」

雲水「あの間合い、ってーよりは羅漢の威圧感に構えがとれなくなってる。」

雷太郎「……」

風太郎「……」

雲水「そして鬼状態も封されてる」

亮「どうやって?」

雲水「鬼状態の発動までにはどうしても間が必要だ。その間の隙を羅漢が逃さないはず無いだろ。そもそも実を言うと鬼状態や龍剄は発動までに間が必要だ。だから、力で先に叩かれる方が怖い。」

亮「……」

雲水「動くぞ」

先に出たのは雷太郎だった。正面に飛び込み殴りかかる……モーションをとりながら上半身をねじり下げての関節蹴り。その後ろか飛びかかったのが風太郎。こちらは初めからとび蹴りだった。フェイントをかました下半身狙いの蹴りと死角からの上半身狙いの蹴り。

その攻撃に対して羅漢の動きは最少だった。狙われている側の足を一歩斜め後ろに引いて、身体を回りこましつつ右手を振り下ろす。

風太郎「ぐっ!?」

雷太郎「がっ?!」

両人の身体を同時に叩き潰す空手道の手刀。攻めも一瞬ならば決着もまた一瞬だった。
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