ｰ池袋:摩天楼ｰ

拳二「はあぁぁぁっ……」

凍夜「ウチに来て盛大に溜息つかれても困るんですけどねぇ」

拳二「だってよぉ、問題が多すぎるんだぜぇ。最近」

凍夜「そうでしょうねぇ。」

拳二「他人事かよ!」

凍夜「いや、他人事も何も……俺には関係ない事なんで。」

拳二「おいおい、ここは池袋の駆け込み寺だろ」

凍夜「巷でどう呼ばれているかは知りませんけど……俺が助けられるのは金のことですよ。」

拳二「生々しい言い方すんよな」

凍夜「そういう生業ですからね」

拳二「ったく……ここは茶のひとつもでねぇのか!」

凍夜「喫茶店じゃないんですから……。ヨミちゃんまだ来てないんで缶コーヒーで良かったら」

拳二「ブラックな」

凍夜「はいはい。それで今一番頭を悩ませてるのはなんです?」

拳二「一番は何を置いても王だ王。王狐文。あのキチ○イ!」

凍夜「気持ちはわかりますけど落ちついてくださいって」

拳二「テメーが暴れるだけ暴れて満足したら姿くらましやがったし」

凍夜「いなくなったんですか?」

拳二「東京にはいるだろうけどな」

凍夜「大変ですねぇ。」

拳二「まったくだ……それとガキ」

凍夜「ガキ?」

拳二「薬の売買してるガキの名前が耳に入ってくるんだよ……確かえーと、ポンカンじゃねーや。何だったかなオレンジでもないし……そうだそうだ蜜柑!」

凍夜「柑橘系のフルーツでも食べたいんですか?」

拳二「違う、蜜柑てガキが薬の元締めしてるんだ。お前聞いたことないか?」

凍夜「いや、全然。この街でですか?」

拳二「いいや、新宿方面だ」

凍夜「あぁ、だったら聞きませんね。この街での生業がメインですしウチは」

拳二「そうか。看板降ろした893の娘なんだが……俺ぁもあんまり詳しいことはしらねぇんだよな」

凍夜「だけど、困ってる?」

拳二「そりゃガキがブイブイ言わせてたらムカつくんだろ。年寄りどもは」

凍夜「あぁ、なるほど」

拳二「ムカついたら後は大義名分掲げて潰し合うだけだからな。あー、やだやだ」

凍夜「でも、拳二さんのところとは関係ないでしょ?」

拳二「それでも目と鼻の先だこっちに飛び火してこないとも限らねぇ……はぁぁぁ面度くせぇよぉー。俺ぁはチマチマと風俗通いしてのんびりくらしてぇのに」

凍夜「それはそれでどうなんでしょうか……」

拳二「あっ、そうだ。呑みに行こうぜ」

凍夜「文脈に繋がりがありませんけど……行きますか!」

白嶺「ダメですよ」

凍夜「!?」

拳二「おっ、よーう。不良娘」

白嶺「妙なことを言わないでください。」

拳二「闇金で働いてるのに不良だろ」

白嶺「バレなきゃ犯罪じゃないんですよ」

拳二「かっかっか、いい答えだ。それよか社長を借りてくぞ大人の社交場に行くからよ」

白嶺「それは構いませんけど、定時まわってからにしてくださいね。」

拳二「おい、この嬢ちゃん厳しいな」

凍夜「しっかりしてるんですよねぇ。おかげで、助かってますけど」

白嶺「あなた方が適当なんですよ。だいたい、社長。頼んでおいた書類に目を通して判をしておいてくれたんでしょうね?」

凍夜「んー、あー、えーと……ほら、ちょっと雨降ってたし」

白嶺「意味がわかりませんし、雨は午前中で止みましたよ」