ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】

ー居酒屋:三日月ー

響「良いお店ですね。」

凛「ありがとうございます」

雲水「とりあえず、全員にビールくれ。俺はジョッキに日本酒で」

響「その呑み方は聊かいかがなものでしょうか」

道玄「放っておけ、そいつにとっては酒は水と変わらん」

響「水も呑み過ぎれば身体に悪いですけどね」

雲水「酒は百薬の長というだろお」

響「それこそ、薬も過ぎたるは毒といいますよ」

雲水「かぁー、あいっっかわらず理屈っぽいな」

響「私、理屈っぽいでしょうか?」

道玄「さぁな」

天地「鬼の字はもともと口より手が早い奴だからな。手八丁口八丁なら猿の字だ」

猿渡「いやー、女将さんは綺麗な手だ。白くてまるで陶器みたいに美しい」

凛「あら、そんな、お上手いって」

天馬「ダメだ。色ボケ猿の口がまわるのは女にだけだ」

響「ある意味、コミュ力があるのでしょうね」

琥珀「こみ……?」

響「コミュニケーション能力という意味です。逆ではコミュ障などということばも有りますが」

琥珀「まるで異国語だな」

鳳「春野殿は古風ですからね。ふふっ」

琥珀「……年齢不詳の魔女にいわれるとはな」

鳳「あら、酷い。クス」

響「女性に歳を聞くのはマナー違反ですよ」

鳳「私はそのくらいで機嫌を損ねるほど青くは無いですわよ」

雲水「それにしても、こうして集まるのも多くなったな」

道玄「だなぁ。そして何の因果か弥一の孫の面倒を見てやっている……。わからんもんだ」

夜見「あの爺は本当に死んだのだろうか」

天地「珍しく口を開いたと思ったら不気味なことをいう」

天馬「奴とて生き物……死なぬわけがない」

響「皆さまは葬儀に参列されたのでしょう?私はいけませんでしたが」

夜見「……俺は今でも老衰というのが信じられないだけだ。」

響「話は変わりますが……お孫さんといいましたか?」

道玄「あぁ、ヤツの孫がまぁボンクラだが根性だけはいっぱしでな」

雲水「秋宵月のお嬢に頼まれて面倒を見てやってる」

響「ほほう、それはそれは……なかなかの技量がおありなんでしょうね」

猿渡「女を見る目は有るが餌の与え方はヘタなやつだ」

雲水「がはは、コゾウはコゾウだしな」

道玄「まったくだ」

鳳「あら、それでも九頭竜さんは娘さんとお見合いさせたじゃないですか」

響「おやおや」

道玄「あれは神がすこしはまるくなればいいと話しあいの場を設けただけだ」

響「それで結果は?」

道玄「微妙だな」

雲水「がはははっ。神姫のお嬢ちゃんの性格がそう簡単にやわらかくなんねーわな。親譲りの気骨だし」

道玄「やかましいぞ。」

響「ははっ、しかし、見合いとは大胆ですね」

道玄「そういう経験もさせておいて悪くないと思っただけだ」
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