ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】

ー路地裏ー

両腕を失い、頸椎を歪め、顔をぐしゃぐしゃ潰され死体となったと思われた。その男は、まだ生きていた。

虎城「ひゅ……ぐぁ……ちくひょぉ……」

無残に砕けた顎を必死に動かし唸る虎城の側で真っ白のフードをかぶったものが言う。

白フード「「氣」の力は偉大だ。普通の人間なら完全に即死だが意識を失う前に自ら氣功を行い出血を止め骨折個所を結合させる。」

部下G「虎さん、用意してきました。」

虎城「おぉ……よふやっふぁ。」

新たな親衛隊のひとりが義腕の代わりに青龍刀のついた器具を失った両手首にハメつける。シザーハンズならぬブレードハンズだ。

白フードの対面ですっぽりと黒フードをかぶったモノがいった。

黒フード「なんのつもりだ?」

虎城「殺すために決まってるじゃないか。痛ぇ!痛ぇんだよちくしょう…まずは女だ。この苦しみを伝えるためにまずは死体いじりの女……やすやすと殺したりはしねぇ。生爪はがして指を一本一本切り落として耳を削いで鼻を潰してハラワタに熱湯ぶっかけて犯しながらクソしてやる……」

黒フード「愚かだな……やはり、お前は失敗だ。」

虎城「あ゛……がっ?!」

フードのモノが少し肩を揺らしただけで虎城とその部下が地面に倒れた。そして、まるで何か見えない固まりでも落とされたかのようにブチブチュっと音を立てて圧し潰れていく。

黒フード「赤龍の力を解放してやってもこの程度……所詮は凡夫か。」

ぴくりとも動かなくなった虎城だった肉塊を覗きこみ白フードはいった。

白フード「この死体どうしますか?」

黒フード「そうだな。」

黒フード吊り上げた手をゆっくりと握り締めて、死体目掛け振り下ろした。死人に鞭打つ……とはこのことか。

虎城(?)「……」

黒フード「お前の好きに使え。腐敗処理はそっちでしろ」」

白フード「ハッ、それで天(あまつ)様次は……虎戌琥を?それとも小鳥遊を?」

黒フード「いいや、東京から離れる。」

白フード「は?」

黒フード「今ので勘のいい奴らは気がついただろう。道玄に寄られるとうっおしい。」

白フード「なるほど……。」

黒フード「そんな顔をするな。今回のことでよく分かった。やはり真の武人はワイや。あの狂った魔王も所詮は人だ。ははははっははははっーー!!」

笑い声を残し、黒フードと白フードは姿を消した。そこには最初から何もなかったかのように……。




ー池袋界隈ー

悠「おー……すげぇ火事」

道玄「……」

悠「あれ、おっさん?」

崇「奇遇だな」

悠「崇まで」

羅漢「どーやら同窓会日和みてぇいだな」

悠「羅漢のおっちゃんまで…」

雲水「どいつもこいつも火事を見に来たわけじゃないだろ」

氷室「異常なほどの殺気…というか、妙な気配ですね。」

神姫「はぁはぁっ……。」

悠「お、神姫まで走って来た……大丈夫か?」

神姫「お父さん!」

悠「はい、無視……」

寅「アホ」

悠「うっさい。」

神姫「お父さん、今のって……」

道玄「うむ……天の氣だったな」

千夜「天?」

道玄「九頭竜天……儂の息子だ」

悠「それって……」

神姫「……ただのクズよ」

柏「おい、そこの一団。なにしてやがる。しょっ引かれたくなかったら散れ」

金剛「……」

悠「本物のクズはああいう国家権力を振りかざすドボケのことをいうんだぞ」

柏「逮捕だ」

ガチャッ……
悠「うぉぉいっ!!」

摩耶「悠君が身体を張って止めてくれたから今の間に……散っ!」

バッ!
悠「ちょっと!なに皆、忍者みたいに一瞬にして消えてんの!」

柏「話しは署でゆっくり聞く抵抗するな」

悠「何もしてないだろっ!こら、離せ!金剛も押さえつけるなーー!」
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