ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】

ースィーツパーラー

柏「それで何が望みだ」

王「まぁまぁ、せっかくお金払ったんだからケーキ食べようよ。」

光臣「……」
ズッ……ズズッ……

柏「光臣、殺気を抑えろ。他の客が引いてる」

光臣「……御意」

ジュリエッタ「皆さん、飲み物をお持ちしましたぞ。柏殿と漆原殿は珈琲、石田殿は水、王殿はキャロットジュース、私はデザートビネガー」

漆原「びねか?」

ジュリエッタ「飲むお酢のことですぞ」

漆原「酢?」

王「あはは、ウルたんおじさんみたーい」

ベキッ!
柏「さっさと用件を話せ!」

王「フォーク折っちゃ駄目だよ。ん、まぁそだね。うるたん。」

漆原「ハッ、こちらが各ルートです。どのルートも「今」は混乱中なので突けばつぐに捕えられるかと。」

柏「ふん、それで何が知りたい」

王「あのねー、フーチェンって男のことー」

柏「虎城?……その名前は記憶がある。確か台湾からうすら笑いの若造だ」

王「さっすがぁ、それじゃあその人のことも何かしってるでしょー?」

柏「……ふーーっ。知らん」

王「わん?」

柏「最近日本に来たことは知ってるだが、虎城は資産家でもなければヤクの下請けでもない。ただの観光客……な、わけもない。腹の中は真っ黒なクズだ。」

王「ほーほー」

柏「クズな理由はいくつかあるが、何でもやるってことが有名だ。本当に何でもな。」

漆原「王さん、つまり……。」

ジュリエッタ「しかし、そんな要注意人物がなぜ普通に入国しているのですかな?」

柏「ふー……手段を選ばない奴だが証拠も残さない。そこが面倒なんだ」

王「なるほどねぇ。ありがとうだわん」

柏「ふん。光臣」

光臣「御意」

柏「……そうだ、これはひとりごとだが」

王「わん?」

柏「虎城という男はひとりでは動かない。もし、ヤツが何かを仕出かそうとしているのなら……更に上がいる」

王「ほうほう、ありがとうだわん。今度うまいい棒の詰め合わせを贈…」

柏「行くぞ」

光臣「御意」

王「あららぁ、結局ケーキ食べずにいっちゃったね。」

ジュリエッタ「ほんとうですなぁー。勿体ない」

漆原「ふざけてる場合ですか。王さん、どうするんです」

王「そうだねー。うるたんさぁ、帰ってくれない?」

漆原「は?」

王「瑠璃たんの警護よろしく~」

漆原「ハッ……わ、分かりましたっ!」

ジュリエッタ「お優しいですなぁ」

王「でしょー、瑠璃ちゃんくらい優秀なエンバーミング(死体修復)の子ってなかなか見つからないからねー。変わりが居ないのに死なれるとちょっと困るんだわん」

ジュリエッタ「なるほど、それよりこちらの苺のスムージーケーキが中々の絶品ですぞ」

王「ホント?それにゃあそれとブルーベリータルトおかわりとってきて」

ジュリエッタ「いざ承知!」
49/100ページ
スキ