ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】

ーひと通りの少ない公園ー

神姫「……寒いわ」

道玄「なんだ、上着貸してやろうか?」

神姫「そんな規格外サイズの上着なんて着たら色々とカッコ悪いからいい」

道玄「やれやれ、難しい年頃だな」

神姫「ナニが年頃よ……。」

雲水「がはははっ!よーし、がりゅ坊!遠慮なくかかって来い!」

京「おうっ!じゃあ、遠慮なくいくぞ!臥劉螺拳!!」

ドゴッッ!!
雲水「フンハッ!」
ドッ!!

京「おーー!」

神姫「……相変わらず無茶苦茶だわ。いま、わざと直撃受けたわよね。」

道玄「雲水が受け(ガード)をしたところなど数十年は見てないな」

神姫「あれで鬼状態(オニモード)じゃないっていうし」

道玄「そんなことをしたら楽しむ間もなく終わるからだろ」

神姫「お父さんたちの生涯現役宣言は知ってるけど壁が高過ぎると下のものが追い抜けないわよ」

道玄「なんだ、神も儂をまだ抜けんのか」

神姫「私は抜けないんじゃなくて抜かないだけよ。生まれ持った才能を舐めないで」

道玄「はっはっはっ、我が娘ながらいいおるわ!これほど豪胆な娘に育つのだったなら降ろした看板をまた掲げても善いな!」

神姫「我が父ながら恐ろしいこというわね。」

道玄「ただの冗談だ」

神姫「その冗談が信じられないのよ」

道玄「ほう、なぜ?」

神姫「なぜって……お母さんと結婚するためだけにヤクザの組を解散したっていう前科が有るでしょうが。娘をヤクザの頭(かしら)にしたいから看板を戻すってのもやりかねないから不安なのよ」

道玄「ふむ……。」

神姫「ふむ、じゃないわよ」

道玄「神が望むのなら……やってもよいぞ?」

神姫「勘弁してよ。イヤよ、私ヤクザになるなんて。クソ兄貴と同じになるし」

道玄「……」

神姫「ごめん、今のは失言だったわ」

道玄「否、その件は全部儂の不手際だと力不足よ。なにか有れば刺し違えても奴は儂が……」

神姫「どこの侍の発言よ。クソ兄貴が喧嘩ふっかけ来るってなら私が血祭りにあげるだけよ。生きて「きた」ことを後悔して、生きている「こと」を後悔するまでね」

道玄「ほう。」

神姫「なによ」

道玄「いいや、儂はよい娘をもったと感心しただけだ。いや、儂の育て方が良かったのかのだろうな」

神姫「はいはい。いってなさいよ」

道玄「ははははっ!」

神姫「はぁ……」

道玄「だかな神」

神姫「なに?」

道玄「もし何かあれば……あの男を頼れ」

神姫「……悠?」

道玄「いや、虎狗琥崇だ。」

神姫「あぁ、そっちね。」

道玄「それにしても……小僧の名前が出てくるとはな。案外孫の顔は早く見れるかも知れん」

神姫「先に三途の川見させるわよ」

道玄「ははははっ!」

雲水「なんだぁ道玄のヤツずいぶんとご機嫌だなぁ」

京「はぁはぁはぁ……」

雲水「よぉーし、がりゅ坊。もう一発こいや!」

京「ふーーーっ……おう!!」
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