ー新伝ー伝説を継ぐもの

ー池袋:溜まり場ー

「さて、少し話をするか?」

柏は金髪の男の肘から折った右腕を掴んで背中にまわし手首と左足首に手錠を掛けた。抵抗する余裕も無いらしく男は悲痛な呻き声をあげて鯱のように突っ伏している。男の髪を鷲掴みにして目と目を合わせていった。

「まだ、ガキじゃねぇか。いくつだ?」

黙り込む男。柏はにたりと笑った。掴んでいた髪の毛をさらに引っ張り頭を上げさせる。ワンテンポあけて地面に叩きつけた。グチュッと肉が潰れる音に散らばる金の髪。声にならない呻き。柏はまた髪の毛を引っ付かんで同じモーションをとる。

金髪男は叫んだ。

「じ、じゅうはち!」

「なにが?」

「と、歳は十八だお願いだやめてぐぶっ!?」

喋り終える間もない再び顔を叩きつける。既に尋問は拷問に変わっている。しかも、喋ろうが喋らなかろうが関係ない。
子供が石を拾って落として遊んでいるのと同じ、悪魔がただの暇潰しにしている人体遊戯なのだ。

三度目の遊戯を試みようとした時、風を切って何かが飛んできた。
柏はソレを叩き落とす。刃渡り15㎝クラスのナイフが床に着き立つ。それを見た金髪の男は涙とはな血でぐちゃぐゃになった顔にわずかな希望を孕む。

柏はいった。

「光臣、なにをしている。」

「申し訳ありません。」

そう返事を返す光臣は自身の伸長ほどもある長刀を抜かずに巧みに操りフードを被った男の攻撃を凌いでいた。
光臣の長刀に対し相手はサバイバルナイフ。間合いを空けずに近接で手数多くナイフを操る。

「破っ!」

ガイィン!キイィン!と金物と金物のぶつかる悲鳴が響く。

「……」

鋭い突きが襲い続けるも、光臣は長刀をほんの数センチだけ鞘から抜いた刃で防ぐ。感情の起伏が一切見られない顔。対する砕と呼ばれ相手は元より顔はフードで見えないが微かに見えた口元は笑った様に見える。
理由は明白。一見すれば技術の高さから抜かずにガードしてる光臣だが、実のところは推されていた。日本刀の持ち味は威力と瞬間の速さ。特に抜刀を持ち技術となる者は間合いこそが最重要……。更に付け加えれば通常の刀よりも長い得物では抜くに抜けないのだ。

高見の見物上等に柏はタバコをふかしていった。

「さすがエデンだな…。互いの武器の優位性を把握してやがる。」

「く、はひひ。そりゃそうだあの砕はすげぇんだよ。身体能力が並外れてやがる。ひゃははは!!」

ボロボロの顔で笑う金髪の男に声を落とした。

「ほう……それはすごいな。ちなみに奴にどれだけの薬を与えてる?」

高笑いしていた男は時間が止まったようにすべての動きが停止した。陸に上げられた魚のようにパクパクと口だけを動かす。
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