ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】

ー廊下ー

独「あ、おーい、がりゅー!」

京「ん?独、どうしたんだ?」

独「あ、いやその……」

妙見「臥劉君、少しよろしいですか?」

京「先生、なにか用事か?」

妙見「えぇ、少々お話ししたいことがありまして。」

京「うん、いいぞ。なんだ?」

妙見「ここでは、アレですから……屋上にでも行きましょうか」

京「屋上か?わかった。」

独「……」




ー屋上ー

妙見「すっかり風が冷たくなりましたね。」

京「うん、だけど、寒い時こそ身体を動かしてあったまるといいんだぞ」

妙見「健康的でいいですね」

京「そうだろう。それで、先生。己に話ってなんだ?」

妙見「おっと、そうでした、そうでした。」

独「……」

妙見「臥劉くん、キミは三年生の小鳥遊悠君に毎日告白をしていますね。」

京「うん!己の気持ちを伝えてるんだ!」

妙見「なるほど、素晴らしいことですね。愛を伝えるというのは」

京「そうだ!先生も分かってるんだな!嬉しいぞ!」

妙見「しかし……不純異性交遊を金輪際禁止します。」

京「……ん?」

妙見「分かりませんか?愛というものは大事です。しかし、行きすぎた愛はただの色欲に繋がります。愛というのは、その意義を失ってしまうと、周りの人間にも混乱を招きます。身を糺しましょう。」

独「(この男は……見た目より中身は黒い、いや、黒っていうのじゃないけど妙な語り口で宥めすかされて反論の余地なくされる)」

妙見「小鳥遊悠君の一番になりたい?お嫁さんになりたい?これは度が過ぎています。学生の本分は健全なる文武両道です。」

独「(俺も結局言いくるめられた……けど、がりゅーなら……)」

妙見「不謹慎なのは良くありません。風紀を……」

京「五月蠅い。愛は風紀より尊い」

妙見「!?」

独「(やっぱりな)」

京「悠と己のこと……何も分かってない癖に……己は…恋してるんだ…溢れてしまうんだ……悠を好きな気持ち止められないからっ…/////!」

独「きゅんっ///」

妙見「なるほど……言葉で通じないのなら直接身体に教えるしかありませんね。」

妙見はぴっちりと絞めていたネクタイを緩めて、腕を肩から回す。

京「待て、何を……」

妙見「教育ですよ!」

ドッ!

独「っ……」

妙見「おや?」

京「独?」

京の間に入って妙見の拳を受け止めに入ったのは独だった。

独「あんた……いくらなんでもこれは違うだろ」

妙見「なるほど、君にも教育が必要でしたか。仕方がありませんね……これも教師の務めです。愛をもって指導しましょう!」
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