ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】

ー一ノ瀬組事務所ー

拳二「ったく、愛のヤロー。どうやってこらしめてやるか……背後から拳骨か……」

組員「社長、ちょっといいですか?」

拳二「何の用だ」

組員「昨日ニュースみました?」

拳二「ニュース?」

組員「銀行強盗で指名手配された山口ってやつ」

拳二「ああ、逃走中だって?」

組員「アレ実はウチの客なんスよ。500万くらいいってたんですけど」

拳二「何ー?お前ら追い込みかけすぎたんだろ。取り立てんなら上手くやれや」

組員「これじゃもう無理すかね」

拳二「はぁ?逃走中ってんなら金持ってんだろ!!サツにパクられる前にとっとと捕まえて来い!!」

組員「は、はいっ!!」





ー教室ー

独「はぁー、ようやく昼か」

雫「お腹すいたねぇ―」

白嶺「……」

愛「すぅすぅ……」

白嶺「まさか一限目からずっと寝続けるなんて」

京「寝不足なのか?」

白嶺「さぁ……ねぇ、ちょっと、瓦谷さん?」

愛「くぅーくぅー……」

京「起きないな」

白嶺「ちょっと、愛さん?」

愛「ん」

京「起きた」

白嶺「ヨダレ垂れてるわよ」

愛「ん」

躊躇なく制服の袖で擦る愛。

白嶺「ちょ、ハンカチぐらい持ってないの、ほらジッとして」

しかたなく、詠子はハンカチを取り出して拭いてやる。そのとき、ふと思った。あれ……なに、この世話係みたいな……っと。

京「お昼だぞ。愛」

愛「お昼……ってことはご飯!給食!」

半分閉じていた眼がかっと開いた。

白嶺「……高校に給食はないわよ」

愛「なんとっ?!」

京「お弁当か購買で買うんだぞ」

愛「なるほど」

白嶺「……一応聞くけどどっち?」

愛「そういえば朝瓦谷が何か持たしてくれたな」

愛はバックを開けて中身を取り出した。ツナ缶、サバの水煮缶、焼き鳥缶……色んな種類のかんづめがどんどん出てくる。

京「缶詰だな」

白嶺「缶詰ね……だけどこれ昼ごはん?」

愛「……まぁいいか」

白嶺「いいの?!」

京「でもこれ、缶切りないと開かないヤツだぞ」

愛「缶切り?」

白嶺「持ってないの?」

愛「……」

白嶺「……ちょっと、そこの」

独「……俺か?」

白嶺「購買でなんか買ってきてあげなさい」

独「俺がか?」

京「独、優しいな!」

独「よしっ、いってくる」

白嶺「単純ね」

愛「……食べれないの?」

白嶺「少し待ってなさいパンが届くから」
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