ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】

ー池袋西口:送迎車(車内)ー

組員「いやぁ、若ボン喜んでいましたね」

拳二「今回はたまたまだよ。」

組員「兄貴は奥床しい。ついていけて最高ですよ」

拳二「よせよせ」

組員「いや、本当に。着きましたぜ、上までお送りしますよ」

拳二「あ、今日は車下に止めて帰っていいぜ」

組員「そうっすか?それじゃお疲れ様です」

拳二「おう」

ー拳二のマンションー

愛「むしゃむしゃ」

拳二「くそ……お前ぇやっぱりまだ居やがったか」

愛「お前じゃない愛」

拳二「……」

愛「おなかへった」

拳二「テメェ今ガッツリ菓子食ってんじゃねーか!何袋目だそれ!」

愛「……ひと袋目」

拳二「うそつけ!こんそめ、のりしお、ピザポテト、三種類も空袋が落ちてるしよォ!せめてゴミはゴミ箱に捨てろ!」

愛「……」

床に落ちている菓子の空き袋やペットボトルが浮遊してゴミ箱目掛け飛んでいく。誰がどう見ても超常現象。

拳二「でたよ……。お前ぇその手品をするのはいいけどペットボトルとか缶をいっしょくたに捨てんじゃねぇよ!」

愛「善処する。」

なんでこんなことになってるんだと拳二は考えたが考えれば考えるほどわけがわからなくなって、考えるのをやめた。

拳二「てかよ、お前早く出てけよ」

愛「行くとこない」

拳二「知ったことかよ」

そう吐き捨ててタバコを咥えると、並べてある日本酒の瓶がカタカタと震える。それはまずい。唯一の財産と言える高い酒達だ。

愛「……」

拳二「かっ、かっか、仕方ないなぁ」

愛「むしゃむしゃ、お腹すいた」

拳二「しばくぞ……。」

愛「……」

カタカタと酒瓶が……。

拳二「わかったからやめろっ!!」

しかたなく食事の準備をする。自分も食べるからでもあるが基本は冷凍食品とインスタント。それでも並べておけば愛はむしゃむしゃと食べ始める。

愛「あっつ、舌火傷した」

拳二「ったく、氷なめとけ」

愛「お風呂いってくる」

拳二「一番風呂かよ」

風呂からでてきたら出て来たで髪は乾かしてないので仕方なくドライヤーをかけてやり、寝ると言っては勝手に空き部屋にいって眠る。しかもテレビはつけっぱなしで、またまた仕方なくそれを消して自分も寝ようと自室に行こうとした時、男はふと思った……なんだ、この世話係みたいな行動はと……。

次の日……今日は一日ゆっくりしようと決めていたのに朝から……

愛「私物がないのは不便」

拳二「あぁ?」

愛「由々しきじたい」




ー池袋:西武デパートー

拳二「……」

愛「おー」

拳二「なんで俺ぁが買わなきゃなんねえんだ」

愛「……」

もはやお約束のように拳二の太い腕が念動力でねじあげられる。

拳二「イデデデデ!!分かった分かった!」

愛「ぬいぐるみがないと眠れない」

拳二「ウチ来てからずっと爆睡してるよな?」

愛「カップはこれがいい」

拳二「なんで高いほう選ぶんだよ!」

愛「取っ手がかわいい」

拳二「……」

愛「この服かわいい端から」

拳二「!?」

愛「ここはすごいなーあれもこれも欲しいものたくさんー」

拳二「……」

店員「全部で八十七万五千百二十円になります」

拳二「…………」




ー拳二のマンション:愛の部屋ー

愛「これがぬいぐるみフカフカ。ベッドもフカフカ。あいつは大人なのに願い事をしてこない。ここは不思議な世界だ。」


その頃、拳二はひとりリビングで酒をカッ喰らっているのであった。
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