ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】

ー池袋西口:拳二のマンションー

拳二「ったく、実家に連れてくわけにもいかねぇし。」

少女「なぁ、これ脱いでいいか?臭いしびしゃびしゃで気持ち悪い」

拳二「上着の下すっぽんぽんの小娘が偉そうだなおい。」

少女「服くれ」

拳二「……なんか用意してやるからシャワーでも浴びて来い。突きあたり右のドアがバスルームだ」

少女「わかった」
べちゃべちゃ……

拳二「あーあー……遠慮なくあがっていきやがって廊下水浸しだよ。しかし、ガキの服何ぞねーぞ。ジャージでいいか」

少女「出た」
ベチゃべちゃ……

拳二「身体を拭いてから出て来い!」

少女「次から気を付ける」

拳二「はぁーー……。とりあえずこれでも着とけ。」

少女「……でかい」

拳二「俺ぁのサイズしかねーんだ。袖と裾は折りたたむでもどうにでもしとけ。好きにしていいから」

少女「好きにしていいの?」

拳二「おう」

少女「わかった。」

少女が手を振ると突然ジャージが空を舞って裁断機にで通したように袖と裾が切断される。

拳二「……」

少女「よし、これでいい。」

拳二「……」

少女「お腹すいた」

拳二「いやいや、待てお前なにした今?」

少女「?」

拳二「いや、なに可愛らしく小首傾げてんだ。何したかって聞いてんだよ」

少女「何って、何?」

拳二「今何か手品みてぇなことしただろオメー!」

愛「オメーじゃない愛(まな)だ」

拳二「……」

愛「……」

拳二「わかった。愛お前は今なにをした?」

愛「念動力」

拳二「あぁ?」

愛「念動力で切断した。このくらいなら余裕」

拳二「……」

愛「……」

拳二はソファーにかけると、シガレットケースから一本タバコを抜いて咥えて火を付ける。

拳二「……ふー」

愛「そのタバコ臭い」

吐き出した煙が愛を避けるように不自然に立ち上った。

拳二「いやいや、かっかっか、なにいってんだ。呑み過ぎか?いや、今日はまだ呑んでねぇ」

愛「ねぇ、お腹すいた」

拳二「なにかそう、なにかトリックって奴だろ。悠だって風のバリアーとかふざけた真似してるんだから……」

愛「……」

突然拳二のタバコの火が潰れ消えて太い腕が捻りあげられる。

拳二「いでででで?!な、なんじゃこりゃぁぁっ!!」

愛「お腹すいた」

拳二「っ、お前か!お前がやりやがってるのかこの羽交い絞め!」

ひとりで変な格好をしているだけに見えて途轍(とてつ)もない謎の力で拳二の腕はねじられている。

愛「……」

拳二「とりあえずなんか食わせてやるからやめろっ!」

愛「……」

拳二「ふぅ……とんでもねぇガキだな……。」
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