ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】

ー池袋:一ノ瀬組事務所ー

辰也「今月の会費は集まったな。」

組員「へい、問題なく。」

辰也「ご苦労様。じゃあ解散です。雨も降ってるので皆さん気をつけてください」

「「「お疲れっしたっ!!」」」

「ふー……ん?」

拳二「辰也さん」

辰也「なんだ?」

一ノ瀬辰樹の息子、一ノ瀬辰也現在組長代理として一ノ瀬組の長をやっている。

拳二「オヤジ(組長)はどうですかい?」

辰也「あぁ、問題ないよ。ただの神経痛です。寒くなるとどうしてもね。歳には勝てないと言っていましたよ」

拳二「そうですか」

辰也「まぁ、あの人は生涯現役といってるのですぐに戻ってきますさ。私では不安ですか?」

拳二「いやいや、とんでもない。お若いのに会社の経営とこっちの顔役までやっていただけて感服してますわ。」

辰也「ははっ、瓦谷君に若いと言われるとおかしな気分だよ」

拳二「いや、かっかっか。」

辰也「しかし初めて聞いたときは驚いたよ。まさかウチの幹部で一番最年少が君だなんてね。どう見ても……いや、なんでもない」

拳二「よく言われてますんで気にしねぇでくだせえ。それより車で送らせますんでどうぞ」

辰也「すまんな。一緒に乗っていくか?」

拳二「いや、俺ぁまだこのあと用事があるんで」

辰也「そうか。じゃあ、お先に失礼するよ。」


拳二「お疲れ様っした……さて、めんどくせぇが集金しながらかえっかなぁ」




ー池袋西口界隈ー

「では、これでお願いします」

拳二「おうよ。」

「拳二さん、もうちょっと店に来てくださいよ」

拳二「おうおう、考えとくぜ」

「頼みますよぉ」

拳二「ふぅ……そう思うんならタオルのひとつくらいでも寄越しやがれってんだよなぁ。おっ?」

少女「……」
タッタッ……

拳二「こんな場所にガキ?おーい?」

少女「……」
タッタッ……

拳二「ちっ、無視していきやがった…………待てよ、おい!」

少女「……」
タッタッ……

拳二「おい、お前に言ってんだよそこのガキとまれ!」

少女「……」
タッタッ……

拳二「聞こえてんだろ!お前だぞ!小娘!」

少女「……」
ピタっ……

拳二「ふぅ……ようやく止まったか。おいって……なんだお前、素っ裸でずぶ濡れじゃねーか」

少女「……」

拳二「何とか……って、あーもーとりあえずこれ羽織れ。」

バサッ
少女「着ていいのか?」

拳二「そんな恰好でいると風邪ひくだろ。とりあえずそれ着て着いて来い」

少女「なんかこれ臭い」

拳二「ぶん殴るぞ」

少女「……」

拳二「はぁぁ……なんか妙なモン拾っちまったぜ」
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