ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】

ー三日月ー

久良三「おっと、旦那。そろそろ時間ですよ」

拳二「おおっ、そうか。んじゃあ、いくかぁ」

凍夜「おや、もうお開きで?」

久良三「野暮用がありましてねぇ」

拳二「ヒマならお前も来るか?」

凍夜「どういう系のお店?」

拳二「蒼天塔だ」






ー池袋:スカイ・タワー(天空闘技場)ー

凍夜「拳二さん、まだここに出入りしていたんですか……」

拳二「今じゃVIPだぜ」

凍夜「ええっ?!」

久良三「ある選手ひとりに肩入れしていましてねぇ」

凍夜「小鳥遊窈、ですかい?」

拳二「アイツはダメだ。俺ぁとは肌があわねぇ」

凍夜「拳二さんの好みでいうと悠君が思い浮かぶけど」

拳二「アイツをひっぱり出せりゃあいいが手綱を付けられねぇからな。超々野良猫とおんなじだぁありゃ。」

凍夜「はぁ、分かるような分からないような……?」

久良三「私ゃあ……はっきりとみたこと無いんでなんとも言えませんけどね。おっと……きましたよ。アイツだ」

凍夜「どっちですか?」

拳二「ボクシングスタイルであの編みこんだ髪型してる奴だ。」

~~

寅『ふぅー……ふっ!』

ドガッ!
対戦相手『ガハッ!』

寅『終わりじゃねーぞ!!』

ゴッ!ゴッ!ゴッ!

~~

凍夜「一方的ですねぇ」

拳二「かっかっか。これで今日も儲けが出るぜ」

凍夜「いったいいくらつぎこんでるんです」

拳二「まぁー……かっかっか。」

凍夜「そうとう儲けてますねぇ」

久良三「でしょうね。今はもうオッズが下がってはいるけどそれでもバカバカ金が動いてる」

凍夜「しかし、それだけ荒稼ぎしてまた目を付けられますよ?」

拳二「そうだろうな。まぁそれも金次第でどうとでもなる」

凍夜「というと?」

拳二「俺ぁに入る金の30%をここに流してやってる。そして20%は寅の取り分。ついでにいうと三回に一回はわざと棄権させて勝利放棄してる」

凍夜「なるほど、そういうことですか。彼は仕込み馬ということか……」

拳二「死合の内容はガチだ。だけどまぁ多少の仕込みはある。それでも俺ぁは儲けが出てここに顔を売れる、ここの連中も目玉役者が出来るし個人的な金も入る、さらに寅の望みも敵う万々歳だ」

凍夜「彼の望み?」

拳二「かっかっか」

久良三「おっと、終わったみたいですよ」

拳二「じゃあ、選手を迎えに行くか」

凍夜「私もで?」

拳二「まぁいいから来いって」

久良三「いきましょう」

凍夜「はぁ……」
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