ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】

ー三日月ー

久良三「……って、感じですね。原宿と新宿が臭いですよ」

拳二「なるほどなぁ」

久良三「どう思います?」

拳二「位置が悪い」

久良三「位置?」

拳二「池袋界隈で捌いてるんなら……崇に嗾けりゃいいんだが新宿や原宿は管轄外だろ。悠の奴は学園島にしかいかねーし」

久良三「なるほど、適任な人がいないと」

拳二「かといって俺ぁがわざわざ出張ることでもねーしなぁ」

久良三「俺もあんまりガキ関係は伝手が……あっ。」

拳二「どうしたよ?」

久良三「ちょうどよさげなガキの伝手があるんですけど」

拳二「ほう。」

久良三「でもなぁ……お嬢に怒られそうだし」

拳二「お嬢?」

久良三「九頭竜のお嬢さんですよ」

拳二「あぁあの凄い頭した姉ちゃんか」

久良三「まぁ、そうです」

拳二「それから預かったガキが居るのか?」

久良三「預かったというかなんというか……。まぁ、鍛えてくれっていわれていいように使ってるんですけどね」

拳二「じゃあ、ちょうどいいじゃねーか」

久良三「まぁ、少し考えときますよ」

拳二「あぁ。この話しはこのくらいにして呑もうぜ」

久良三「いただきます」

凍夜「こんばんわ」

凛「いらっしゃいませ」

凍夜「まーだ、空いてるよね……おっ」

拳二「よおぉ、金貸し。まーたブラブラして呑んでるのか」

凍夜「瓦谷さんこそ人のこと言えるんですか?」

拳二「かっかっか、俺ぁひとしごと終えたばかりよ」

凍夜「へぇ、どこの組を締め上げて?」

拳二「やってねーよ」

恵瑠「凛さん、客層に一抹の不安が芽生えてきました。」

凛「大丈夫よ。ただの冗談じゃない」

恵瑠「いや、絶対に冗談じゃないですって……」

拳二「そういやぁ、金貸し」

凍夜「なんです?ご融資ですか?」

拳二「いいや、お前はこの辺りで変な薬が出回ってる話し聞くか?」

凍夜「この街だと聞かない方が少ないでしょ。夜の公衆便所に行けばいくらでも取引してる輩がいますよ」

久良三「だよな」

凍夜「なんかヤバい話しでも?」

拳二「いいや、まだ何にも分かってない話しだ」

凍夜「そうですか。それより今日も昼間は暑かったですよねぇ。冷たいのひとつ貰える?」

凛「はい、ただいま」

久良三「ですけど、昼と夜の寒暖差は大きくあるみたいですよ」

拳二「そういやぁ、超でけえ台風が出来てるらしいな」

凍夜「ああ、大型で風や雨が強いってニュースしてましたね。」

拳二「めんどくせぇなぁ」

久良三「集金を先に済ましとくのが吉ですね」

凍夜「確かにそうだ。ウチはあんまりひどいようなら二日三日休みますよ。」

拳二「そういってお前ん所は自宅兼事務所でいるだろ」

凍夜「まぁ、そうなんですけどね。」
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