ｰ陵桜学園高等部教室ｰ

白嶺「(さて、放課後になったし、今日は社長に集金させて、催促の電話しなきゃ)」

京「詠子、今日も勉強教えてもらっていいか？」

白嶺「ごめん、今日はちょっと用事があるの」

京「む、そうか。わかった。またコーチを頼む。」

白嶺「真面目ね……。もうちょっと、砕けていいのに」

京「何かを砕けばいいのか？」

白嶺「いや、そうじゃないんだけど……。みんなも帰ったみたいだし、今日はがりゅーも帰ったら？じゃ、またね。」

京「ああ、さよなら。よし、帰って鍛練を……」

恵瑠「臥劉さん、少しいい？」

京「なんだ？」

恵瑠「えーと、私ねっ、悠センパイと知り合いなんだけど」

京「おぉ、そうなのか。」

恵瑠「えぇ、そうなの。」

独「おーい、がりゅー。って、取り込み中か」

京「天涯、なにか用か？」

独「用事は用事なんだけど。急ぎの用じゃないから話してるなら……もう一周してくる。」

京「それでなんだ？」

恵瑠「あ、えーと……。」

京「？」

恵瑠「がりゅーちゃんは本当に悠センパイのことを……好きなの？」

京「好きじゃない。大好きなの///」

恵瑠「そぅ……なんだ。けど、それって……大変だよ？」

京「なにがだ？」

恵瑠「悠センパイってぇ、けっこう隠れファンが多いらしいよ～」

京「そうか。」

恵瑠「ほら、悠センパイってさ誰にも分け隔てなく接するからそれで勘違いしちゃう子が多いんだよねー」

京「？」

恵瑠「えと……がりゅーちゃん、わかってる？」

京「なにがだ？」

恵瑠「だから…悠センパイが好きな娘、多いんだよ？そんな脇甘で……本当に恋敵が現れたとき負けちゃうよ？」

京「こいがたき？」

恵瑠「そう。恋敵」

京「恋に敵などいるのか？」

恵瑠「！？」

京「己(おれ)にとって恋は自分との戦い。もし……悠お兄ちゃんを振り向かせることができなければ……それは己の愛が足りないからだ。足りなければより強靭(つよ)く、より深遠(ふか)く、鍛練するだけだ」

恵瑠「な、何それ……恋に敵はいないなんて……恋はいつだって足の引っ張りあいじゃない……」

京「恵瑠、どうかしたか？」

恵瑠「っ、な、なんでもないよ。じゃあね、がりゅーちゃん。」

京「おぉ、さよなら。」

独「……なんか揉めてたか？」

京「揉めてなんかないぞ。恵瑠は親切でいいやつだ。色々と教えてくれた。」

独「そうか。」

京「ちゃんと、明日お礼言わないとダメだな。うん。」

独「……ま、いっか。がりゅー、今から暇か？」

京「鍛練だ」

独「あー……じゃあいっしょに遊びに行くのは無理か？」

京「遊びに……いや、平気だ。」

独「あれ、意外と軽いな」

京「悠がいってた。友達と遊ぶのも鍛練のひとつだって」

独「あー……なるほど」