ー新伝ー伝説を継ぐもの【3】

ー居酒屋:三日月ー

拳二「んっ、あれ…?」

久良三「どうかしました?」

拳二「いや、タバコが切れてやがる」

久良三「良かったら俺のを……って、あら、俺も空でした。」

拳二「あー……おい、兄さん。タバコ持ってたらちょっとくれねぇか?」

窈「あぁ、すみません。私はタバコ吸わないもので……って、瓦谷」

拳二「お?あー、なんだ窈じゃねぇか。それに金貸しも」

凍夜「ははっ、金貸しって酷いですねぇ」

久良三「同業で?」

拳二「ちげぇよ。池袋の駆け込み寺っていったらお前ぇも聞いたことぐれぇはあんだろ。そっちのちゃらそうなのがそこの社長だ」

久良三「へぇ、コイツは驚いた。噂にゃ聞いてましたがこんな若い人が社長とは」

凍夜「いやいや、そんな大層なもんじゃありませんよ。それでも、ご融資が必要でしたらこちらへ連絡ください。ご相談にのらさせていただきますよ。」

久良三「こりゃどうも、自分はこういうもんです」

凍夜「はは、やっぱりそういう関係の方でしたか」

久良三「ミラクルとよんでください」

窈「みらくる?」

久良三「水落久良三、一文字足して上から読んでも下から読んでもみらくるくらみ。」

凍夜「ユニークな人ですね」

拳二「あぁ、俺ぁもコイツの本音の所はわかってねぇし」

久良三「っで、そちらの方は?」

窈「あぁ、失礼しました。わたくし、こういう者です。」

久良三「プロデューサー……?それに小鳥遊って」

拳二「あぁ、コイツは悠の従兄だ」

窈「違います。親戚、正確に言うと叔父です」

凍夜「複雑な家庭事情だよね」

窈「……否定はできない」

拳二「かっかっか、悠の周りには普通なヤツのが少ねぇんだよ」

凍夜「ははっ、ソレだと瓦谷さんは変わってる代表になるんじゃないですか」

拳二「あぁ?どういう意味だよ」

久良三「いや、そのまんまの意味だと思いますよ?」

拳二「うぉい!」

久良三「はい?」

拳二「なにか?みたいな顔してんなよ」

凍夜「ははっ」

恵瑠「すいませーん。そろそろラストオーダーになるんですけど」

拳二「おお、それじゃあ、コイツら全員に瓶ビール一本ずつもってきてやってくれ。それと会計はまとめにしてくれ」

凍夜「おや、いいんですか?」

拳二「おう。臨時収入も入ってるしな」

窈「ああ、俺は自分の分は自分で払うよ」

拳二「あぁ?いいってんだろ」

窈「気持ちは嬉しいんだけどこういう所を見られると色々とまずいんだよ」

凍夜「まぁ、確かにアイドルのプロデューサーがヤクザと交流があるなんてのは完全に悪い方にしか取られないでしょうからね」

拳二「めんどくさいなぁ。お前」

窈「俺がどうこうじゃなくて世間の目にいってくださいよ」

拳二「悠なんて全然気にしないぜ?」

窈「いや、彼は別に気にするようなことがないでしょうよ」

拳二「まぁなぁ、アイツ自身がチンピラだしな。かっかっか」

恵瑠「チンピラじゃないですよっ!」

久良三「おっと…」

恵瑠「あ、す、すいません」

拳二「かっかっか、そうさなぁ。まんまチンピラじゃねーか。半チンピラ程度か」

久良三「それは同じでしょう」

拳二「あー?そっかぁ?」

窈「やれやれ……」
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