ー新伝ー伝説を継ぐもの【3】

ー池袋界隈:秘密基地(工事現場)ー

独「…………」

仲村渠「あー……そのなんだ、スマン」

独「ゴフッ……ちょ、うけみの、れんしゅうったのに……いきなりぶんなげって……なんだ、よ。」

仲村渠「いや、アレだよ。身体で覚えてもらおうとかるーくゆっくり投げる予定だったんだよ。マットの上に」

独「まっと……俺の横にあるんだけど」

仲村渠「えーと、位置がずれちゃった。大丈夫大丈夫、骨は逝ってないはずだし」

独「……」

仲村渠「そんな睨むなよぉ。ちょっとしたミスなんて誰にでもあるだろ」

独「やっていいミスじゃないだろこれ、死ぬかと思ったぞ」

仲村渠「殺すほどの威力はないって」

独「反省してないなアンタ」

仲村渠「謝ってんじゃん。なに、脱げって言うのか!」

独「誰もいってねーよ!」

仲村渠「っていうか、起きろよ」

独「痛くて起きらんないんだよ!!」

仲村渠「受け身とれよ受け身」

独「その受け身を教えるための練習をしてたんじゃねーのかよっ!!」

仲村渠「あはははっ」

独「もう帰ってくれないかな……割とマジで」

仲村渠「ほら、起きろってこんどはちゃんとするから」

独「今さっきまではちゃんとしてなかったってことか」

仲村渠「細かいことにうるさいやつだな……」

独「大事なことだろっ!いったじゃん!投げられまくってるから怖いって!」

仲村渠「怖さも克服できるじゃん」

独「無茶苦茶だろ」

仲村渠「そうかな?」

独「痛っっ……。あー、背中がめちゃ痛い」

仲村渠「よし、じゃあ始めるぞ」

独「……」

仲村渠「今度は投げないって、まず足を肩幅に開く。」

独「(やるまで居る気なんだろうな……しかたない)」

仲村渠「次に右足だけを同じく肩幅分前方に出す、右手の平を、指先が後ろの左足に向くように地面につく」

独「こうか?」

仲村渠「その時、両足と右手で、右手を頂点とする直角三角形が出来るくらいにするのを目安にして、視線は後ろの左足。股の間から真後ろをみるようにしてもいいぞ」

独「んんっ……」

仲村渠「そのまま、後ろ足(左足)で地面をゆっくり蹴り、体重を前に傾けていく、その時顔が前を向かないように、視線を後ろにしたままでいること。」

独「ふっ、んんっ、結構辛い……」

仲村渠「右手の肘→右肩→背中→左のおしりという順序に地面を前方に転がる。頭頂部は進行方向に対して。左側に向いくんだぞ。真っ直ぐ前方に向いていると頭を地面にぶつけるので要注意だ」

独「っ!んっ!ふっ!」

仲村渠「自分の背後の右手指先から左足まで斜めに線を意識し、その線で回ることを意識する!」

独「ふっ、はっ、ふっ、はっ…」

仲村渠「最初は左膝を地面についた膝立ちの姿勢から始めると、恐怖心も少なく、場所もとりません。何度か膝立ち姿勢で練習してから次に立ってやってみましょう。注意点は左足でゆっっくり地面を蹴り体重を前方に移動させることっ!決して右手を勢いをつけて地面につけないように静かにそっと地面に触れる感じだ!それと右手は真っ直ぐではなく軽く肘を曲げて肘、肩、背中、お尻、と丸いアーチ状の形を意識すると転がりやすいぞ!」

独「っていうか、これ、片側ばっかりじゃ、ないっ、か?」

仲村渠「反対方向は左右が変わるだけだから、自分でそのくらい考えてしなさい」

独「体育会系め……」
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