ー新伝ー伝説を継ぐもの【3】

ーキャットテイルー

柚「いらっしゃいませー。」

「ゆーずさん、捕まえてきましたよ。」

柚「あら~ご苦労様。」

「ほら、渡して」

独「なんか俺、下っ端みたいな扱いになってない?」

柚「白猫と黒猫ね。はい、ありがとう。このコたちをまずはシャンプーしてあげて」

バイト「はーい、わかりましたー。」

猫『にゃーっ!』

黒猫『みゃーっ!』

「あんなに喜んじゃって」

独「俺には抵抗の叫びに聞こえたけど……」

柚「さて、それじゃあ……とりあえず、なんか飲んでく?サービスしちゃうよ」

「いただきまーす」

独「折角ですが俺は遠慮しま――」

「遠慮すんなって」

独「引っ張るなよ……俺あんまりあそこから離れると怒られるんだよ」

「レスホーム仲間に?」

独「だから、レスホームじゃなってーの!」

柚「はい、サービスのナインテイルどうぞ」

コトッコトッ

独「……なんすかこの表現しづらい断層のあるものは」

柚「九色の飲むゼリー」

独「……ナインテイルの意味は?」

柚「細かいこと気にしてると禿げるよキミ」

「ごきゅごきゅ……ぷはっー!ごちそうさまっした!」

独「こっちはこっちでひと息に飲んでるし」

柚「味は保証してるよ。それじゃ、なにか注文あったら呼んでね。それじゃごゆっくり~」

独「……」

「飲まないの?」

独「これは飲み物なのか?ゼリーだから食べ物なのか?」

「飲むゼリーだから飲み物っしょ」

独「なるほど……ずるるっ。あ、美味い」

「啜る音が下品」

独「自分だって喉鳴らして飲んでたろ」

「啜っては無いしイタリア人に嫌われるよ」

独「イタリア人に知り合いはいないんだが……っていうか、ひとつ聞いていいか?」

「なにさ?」

独「名前」

「あれ、言ってなかったけ?」

独「聞いてないし、俺もいってない」

「あはは。私は仲村渠豊美(なかんだかりとよみ)」

独「なか……?」

仲村渠「どうせ読み書きも出来ないだろうからナカムラでいいよ。っで、そっちは」

独「天涯独だ。」

仲村渠「天涯孤独?私よりも奇抜な名前だね」

独「天涯独だっ!「孤」を足すな!」

仲村渠「言われ慣れてる感じのツッコミだね」

独「うるせぇっての……そっちこそなんなんだその名字」

仲村渠「お母さんが沖縄出身なのさ」

独「ってことは、ナカムラは沖縄のひとなのか?」

仲村渠「んにゃ、私は生まれも育ちも東京。母親が沖縄生まれなだけ。察しろよ」

独「……っで、もう用がないなら帰っていいかな。」

仲村渠「なんでそんなすぐ帰ろうとする。私がお茶してあげてんのに」

独「「私が」って今さっき知り合ったばかりだろ……あんまりうろうろしてたら俺怒られるんだよ」

仲村渠「誰に?」

独「……ミラクルさん」

仲村渠「は?」

独「ともかく、用が済んだならおれは帰らせてもらうよ」
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