ー新伝ー伝説を継ぐもの【3】

ー池袋界隈:秘密基地(工事現場)ー

プルルル!プルルル!

独「はい?もしもし」

久良三『よう、来てるか?』

独「お疲れ様です。はい、もう来てますけど……久良三さんは?」

久良三『そっち向かってるところだ。もう目のまえなんだけど、幕開けてくれるか?』

独「え、あ、はい」

ざあぁぁ……ブロロロ!

久良三「よっす」

独「普段軽トラが愛車なんすか?」

久良三「普段は電車使ってるよ」

独「意外と庶民的…。」

久良三「ヤクザ=金があるなんてことは無いからな、むしろヤクザで金があるのは本当に指折りのとこだけだよ」

独「はぁ……。そういうもんなんですか」

久良三「興味あるなら、ウチに履歴書持ってくるといい」

独「遠慮します」

久良三「早かったな。」

独「俺の中で警報が鳴ったもんでね」

久良三「はっはっはっ、そういうのは大事に磨いとけ引き際を分かってる奴は長生きもするし商売だって上手くいく」

独「臆病なだけですよ」

久良三「臆病なのは悪いことじゃない、そういうやつほど強かだしな。それより荷台のを降ろしてくれ」

独「これって……サンドバックですか?」

久良三「それとトレーニング器具だ。もらって来てやった」

独「どこから……?」

久良三「うちがタニマチしてるボクシングジムからだ。古いヤツばっかだから気前よくくれたよ。新しい器具買って邪魔になってたそうだ」

独「たにまち?」

久良三「あぁ、スポンサーのこと」

独「ボクシングのスポンサーなんてしてるんですか」

久良三「してるよ。場所によったら相撲部屋のところもあるしね。ほら、八百長とかあっただろ」

独「そういう裏がからんでるんですね……。」

久良三「ははは」

独「笑い事ですか」

久良三「ああいうのも指折りのところだから出来るんだって、俺がタニマチしてるジムはただ純粋に俺の趣味でのだから危ないところじゃないよ」

独「なるほど……ところで、俺ひとりでサンドバックを動かすのは無理なんで手伝っていただけないでしょうか」

久良三「しかたないなぁ。」

独「申し訳ないです」



~設置中~


久良三「よし、これでいいね」

独「いい……ですか」

久良三「いいでしょ。なんだったらここに寝泊まりしてもいいよ」

独「レスホームはちょっと……」

久良三「七割は冗談だ」

独「三割は本気ですか」

久良三「ははは、それじゃ、時間が惜しいしパンチの練習しようか」

独「ういっす」

久良三「裸拳で殴ったらこぶしが壊れるからグローブはめていつものようにやってみろ」

独「よっ!」

どん!

久良三「音が悪いな……。フォームちゃんとしろ」

独「は、はい」

どん!どん!

久良三「はい、違う。足の位置、腕振りちゃんとする。忘れたなら横にある鏡を見て直せ」

独「はい…。」

久良三「しゃんと返事しろ」

独「はいっ!!」

久良三「よろしい、はい、右左右左で打ってけ打ってけ」
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