ー新伝ー伝説を継ぐもの【3】

ー池袋界隈:工事現場ー

不良A「おらっ!逃げんじゃねーぞ!」

不良C「ま、にがさねーけどな!」

久良三「(見たところ剣道……の段持ちではなさそうだな。まぁでも鉄パイプって痛いからなあ。簡単に腕とか折れるし…………無理かなぁ)」

独「(怖い怖い怖い怖い怖い……。どうする、俺もなんか持つか、駄目だ。手ごろなところに何もない。ってか、前と後ろで挟まれてるし……。)」

久良三「(わぁ、めっちゃくちゃ顔ビビってるな。仕方ないか、かたっぽ潰して……おっ?)」

独「このっ……!!」

不良A「ぐわっ?!」

不良C「てめっ!!」

ブンッ!

独「うわっ!!」

不良A「くそっ、砂なんか蹴りあげやがって……!」

不良C「バカが壁ぎわに行きやがったぞ」

独「はぁはぁ(失敗した―ーッ!あっちに逃げればよかったのに…)」

久良三「(やりかたは雑だけど生存本能は高いんだなアイツ。)」

独「(絶対に殴られるんなら……やるしか、ないのかッ)はぁはぁ。」
ぶるぶる……

不良A「なんだ、足震えてんぞ」

独「怖いからに決まってんだろ!」

不良C「だったら、大人しく痛い目あっとけ!!」

ビュッ!ガッン!!
独「グゥっ!!?」

久良三「(お、上手い。ビビってるわりには間合いに入りこんで背中で受けた。でも、アレだと息が止まるだろうな)」

独「っ……オラァァッ!!」

ズドッ!ゴギュッ!!
不良C「ぶはっ?!」

久良三「(おー、ちゃんと頭突きまで繋げた。あいつのタッパで下から頭突きされりゃあ、しばらくは動けないだろうな。けっど……)」

不良A「このやろっ!」

ベキッ!
独「うぎゃっ!!?」

不良A「こいつ、なめやがって!」

独「っ!……あっ。」

久良三「はい、そこまで」

不良A「なっ?!」

久良三「動くなよ。突き立ててるから動かれたら刺さるぞー」

不良A「ひっ」

久良三はドスの銀刃を不良の太股に向けて突き立てていた。

久良三「ここさー、一応オトナ(組)の仕事場なんだよね。キミらなにしてるの?」

不良A「い、いや、俺らは……」

久良三「五秒以内に選ぼうか。死ぬか、そこの奴ら連れて出てくか。はい、五、四三二…」

不良A「でていきます!てでいきます!おい、お前ら立て!!」

不良B「ま゛、まっでぐれ!」

不良C「置いてくなって!」

独「……脱兎のごとくっすね」

久良三「ねー、こんな玩具でびびってるから大したこと無いんだよ」

独「おもちゃ?」

久良三「これね。本物そっくりだけど……ほら」

ガション、ガション

独「うーわっ……。刃の引っ込むヤツだ」

久良三「いくらなんでもドスなんて持ち歩かないでしょ」

独「玩具は持ち歩くんスか?」

久良三「あはは、それより立てる?」

独「全身痛いっす……。」

久良三「だろうねー。ま、でも最後の頭突きはよかったよ。」

独「がむしゃらでした……」

久良三「次からは意識してできるように頑張れ。ここを守ってくんだから」

独「……はい?」
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