ー新伝ー伝説を継ぐもの【3】

ー池袋界隈:飲み屋ー

久良三「ここは俺の行きつけだ。味はそこそこで安い値段と品数の多さがウリでさ、好きなのを頼んじゃってくれ。」

独「はぁ、じゃあ……水落さんと同じもので」

久良三「いいから、すきなの頼みなって。俺は食が細いからさ……あんまり食わないのよ」

独「そういえば……細いですもんね」

久良三「あぁ、昔からヒョロいんだよ。」

独「でもタッパあるじゃないですか」

久良三「そういうのってもやしっていわない?」

独「俺は……もやしはないっすよ」

久良三「自分はガタイいいだろ」

独「そうでもないですよ」

久良三「気つかってる?」

独「いや……」

久良三「冗談だ。そんなに引きつるなよ」

独「は、はぁ……」

久良三「そういえば俺の素性がまだだったな。だいたい予想ついてると思うけど……そっちの家業の人間だ」

独「デスヨネ」

久良三「といっても、そこまでデカイ組みでもないんだどな……正直弱小組だ。」

独「ハ、ハァ……」

久良三「居心地はいいところなんだけどな。あっ、コレ名刺、金に困ったら客としてきな貸してやるよ」

独「まったく結構です」

久良三「遠慮するな、ウチはこのご時世に不思議と優良な金利だ。ま、ちゃんと返さないと……」

独「返さないと……」

久良三「ふー。」

独「いってくださいよ?!」

久良三「お前、タバコは?」

独「いや、吸いません」

久良三「酒は?」

独「極々たまーに」

久良三「ギャンブルと女遊び」

独「まるで無し」

久良三「なんか……見た目に反して真面目君か?冷たいのやってるとかか?」

独「冷たいの?」

久良三「薬」

独「やってませんよ?!」

久良三「ふーん、じゃあ本当にただの学生か」

独「なんだと思ってたんですか……」

久良三「いや、御嬢さんが連れてくるからなんか問題あるやつなのかなと思って」

独「今までもこんなことが?」

久良三「んー……何人か処理したことはあるな」

独「……」

久良三「あ、別に殺したとか埋めたとかじゃないぞ。ちょっとご近所で騒ぐとうるさいから静かにしなきゃダメだぞっていっただけだ」

独「デスカ……」

久良三「いっとくけど俺に殺人の前科はないからな」

独「一安心しました」

久良三「そういう目で見てたわけか」

独「さっきから言ってること聞いてたらそう思うのも仕方ないでしょ!!」

久良三「はっはっ、そうだよな。……途中で逃げ出さないか試してたけどその点は合格だな」

独「逃げ出して……神姫さんにバレたらもっと怖い目に遭いそうですからね」

久良三「なかなか気にいった。それじゃ、デザート頼むか」

独「デザート?」

久良三「俺は甘党なんだ。そしてここは裏メニューにプリンがある。」

独「そ、そうなんすか……」
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