ー新伝ー伝説を継ぐもの【3】

ー窈の家ー

熊彦「……っ?」

窈「あぁ、起きたか」

熊彦「……?」

窈「吐き気や悪寒はしないか?」

頭部に深刻なダメージがある場合(内出血など)は吐気、失血が多いときなどは悪寒などの症状が現れたりする時がある。

熊彦「ハッ?!痛……」

窈「まだ無理だ。コレ飲んで寝てろ。炎症止めだ……鎮静剤もいるか?」

熊彦「ぐっ……俺はいったい」

窈「しらねーよ。見にいったら泡吹いて倒れてたから拾ってやったんだから……まさか、あのえーと天涯にやられたのか?」

熊彦「いや……ちょっと待て……なんか……」

窈「お前、記憶飛んでんじゃないか」

熊彦「……そうだ。女だ」

窈「女?」

熊彦「あぁ、やたら髪がおさげになった女が現れて……コンクリに叩きつけられた。次に胸を疲れて壁にふっ飛ばされた」

窈「そいつは……夢か?」

熊彦「夢でこんなボロボロになるかよ」

窈「天涯にやられたんじゃないのか?」

熊彦「それだけは……ない。」

窈「言い切ったか……しかし、お前をそこまでボコボコにできるんだからそこそこの相手だったんだろうな」

熊彦「そこそこってなんだ」

窈「そこそこだよ」

熊彦「このっ……痛っ……」

窈「動くなよ。俺は医者じゃないからちゃんとは分かんないが骨はいってないはずだ。それでも全身打撲、明日一日は寝てろ」

熊彦「はっ……」

窈「身体でかくて助かったな」

熊彦「……」

窈「なんか食うか?男を寝かせて、飯作ってやるのもなんかイヤなんだけど拾ったし面倒は見てやる」

熊彦「ふんっ……」

窈「ちゃんと喋んないと生卵を顔に落とすぞ」

熊彦「今はなんもくいたかねぇ」

窈「そうかよ。んじゃ、用があったら呼べ俺はトレーニングしてるから」

熊彦「……広いんだな。お前の家」

窈「元に住んでたマンションのが広かったと思う」

熊彦「セレブ野郎が……」

窈「今は借金持ちだよ。車もないし」

熊彦「へっへ……」

窈「殴ってやろうか」

熊彦「ケガ人だぞ」

窈「態度でかくなりやがって……」

熊彦「トレーニング器具はあるのか」

窈「あのな、冷蔵庫だってあるしテレビだってあるだろ」

熊彦「いや、それがないとダメだろ」

窈「あとは仕事で使うもんとかはちゃんと持ってるし」

熊彦「ふーん、お、写真があるじゃん」

窈「あぁ、可愛いだろ。真桜ちゃん」

熊彦「誰だ?事務所で見ねぇが親戚か?」

窈「隣に住んでる娘だ」

熊彦「…………こっちの白いのは?」

窈「それは白巳ちゃんだ。隣に住んでる」

熊彦「………………どうみても隠し撮りしてる風に写ってるんだが気のせいだよな」

窈「……」

熊彦「……」

窈「よし、腹筋しよ」

熊彦「警察……警察に電話」

窈「まぁ、待て別に知らぬ仲じゃないから」

熊彦「本当だろうな」

窈「本当だよ」
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