ー新伝ー伝説を継ぐもの【3】
ー池袋:裏路地ー
熊彦「……終わったか」
奥歯がへし折れていても可笑しくないほどのクリティカルヒットを実感した。
独「っ……痛い」
熊彦「なにっ?!」
立ちあがる。確かに横面に打ちこんだ相手は頬を押えながら立ちあがったのだ。
独「はぁ……はぁ……」
熊彦「(手応えは確かに十分あった……こいつ、上半身がかなり柔らかいぞ)」
その認識は正解だった。奇しくも……この男は、あらゆる強豪、超人……並々ならぬ者たちに盥まわされつつ扱かれているのだ。そして、その各々のメンツが徹底的に鍛えたのは柔軟。
独「(ダメだ……。追いやられたらどうにもできない……。この人、見た目より速すぎるし……だったらもう、やるしかないよ……な。)」
その夜、男は初めてソレをした。構える。腕を挙げて拳を握る。挑戦、あるいは勇気。そう……どれだけ鍛えようとどれだけ闘う意思を持っていようと実際に行動しなければ何も始まりはしないのだ。
熊彦「ふっ……ふはは、なんだ、やる気になったにしては腰が引けてんぞ。ははははっ!!」
独「っ……」
闘う意思はみせたが……当然、気持ちが前進しただけでは意味が無い。スタートラインに立った……この先は本当の始まりなのだ。
そして彼は身体は確かに鍛えてはいても闘い方のレクチャーは受けていない。
熊彦「だが、構えたなら少しは男気残ってるみてぇだな。いいぜ、もっともっと引きずり出してやるよお前の男気を!」
「そんな暑苦しいもの見たくないわよ」
不意に聞こえた女性の声。そして二人の頭上から途轍もない塊りが落ちてきた。
独「ぐぁっ?!」
熊彦「がっ!!?」
潰れた蛙のように地面に突っ伏す二人。頭から厚い辞典でも落とされた衝撃に押しつぶされる。だが、そこには何もない。まるで重力が突然変化したような感覚に困惑する。
神姫「知った声が聞こえると思ったら……なにカツアゲされてるの?」
独「し……んきさん」
神姫「ったく、暑苦しいし見苦しいから……両成敗ね」
独「!?」
熊彦「!?」
二人の頭を掴むと神姫は地面に叩きつけた。骨がアスファルトにぶつかる音というのは聞いていて気分のよいものではない。じわっと何処から出血したか分からないがとろりとろりと血海が出来たいく。
神姫「汚っ……。ちょっと、意識はあるんでしょ?」
髪の毛を鷲づかみにして無理矢理に独の顔を持ち上げた。
独「あ゛……い゛っ…」
口の中が切れたらしく鉄の味を味わいながら返事をする。
神姫「なら、行くわよ。三秒で立たないともう一回打ちつけるわ。一、二……」
独「た、たちまふっ!!」
神姫「よろしい。っで、そっちのヤツ」
熊彦「ごほごほっ!!くそっ、なんなんだっ……」
神姫「これの知り合いよ。病院送りは勘弁してあげるからとっとと失せなさい。コイツは連れてくから」
熊彦「ふっざけんなよ女ぁ!!」
神姫「……さい」
熊彦「あぁ?」
神姫「大人しく寝てなさい」
パンチでも蹴りでもない。熊彦の胸元をただ押しただけで巨体が壁の中にめり込んだ。その音たるや何かが爆発したような恐ろしい音。もちろん男はピクリもせず気を失っている。
独「……すげっ」
神姫「しまった、ちょっと力いれすぎた。死んだかも」
独「えぇっ?!」
神姫「冗談よ。多分鎖骨しか折れてないわ。さっ、逃げるわよ」
独「逃げるって……」
神姫「バカね。あんな音したよの警察がすぐ来るわ。捕まりたいならそこにいなさい」
独「ちょ、この人は?」
神姫「警察が病院つれてくわよ」
熊彦「……終わったか」
奥歯がへし折れていても可笑しくないほどのクリティカルヒットを実感した。
独「っ……痛い」
熊彦「なにっ?!」
立ちあがる。確かに横面に打ちこんだ相手は頬を押えながら立ちあがったのだ。
独「はぁ……はぁ……」
熊彦「(手応えは確かに十分あった……こいつ、上半身がかなり柔らかいぞ)」
その認識は正解だった。奇しくも……この男は、あらゆる強豪、超人……並々ならぬ者たちに盥まわされつつ扱かれているのだ。そして、その各々のメンツが徹底的に鍛えたのは柔軟。
独「(ダメだ……。追いやられたらどうにもできない……。この人、見た目より速すぎるし……だったらもう、やるしかないよ……な。)」
その夜、男は初めてソレをした。構える。腕を挙げて拳を握る。挑戦、あるいは勇気。そう……どれだけ鍛えようとどれだけ闘う意思を持っていようと実際に行動しなければ何も始まりはしないのだ。
熊彦「ふっ……ふはは、なんだ、やる気になったにしては腰が引けてんぞ。ははははっ!!」
独「っ……」
闘う意思はみせたが……当然、気持ちが前進しただけでは意味が無い。スタートラインに立った……この先は本当の始まりなのだ。
そして彼は身体は確かに鍛えてはいても闘い方のレクチャーは受けていない。
熊彦「だが、構えたなら少しは男気残ってるみてぇだな。いいぜ、もっともっと引きずり出してやるよお前の男気を!」
「そんな暑苦しいもの見たくないわよ」
不意に聞こえた女性の声。そして二人の頭上から途轍もない塊りが落ちてきた。
独「ぐぁっ?!」
熊彦「がっ!!?」
潰れた蛙のように地面に突っ伏す二人。頭から厚い辞典でも落とされた衝撃に押しつぶされる。だが、そこには何もない。まるで重力が突然変化したような感覚に困惑する。
神姫「知った声が聞こえると思ったら……なにカツアゲされてるの?」
独「し……んきさん」
神姫「ったく、暑苦しいし見苦しいから……両成敗ね」
独「!?」
熊彦「!?」
二人の頭を掴むと神姫は地面に叩きつけた。骨がアスファルトにぶつかる音というのは聞いていて気分のよいものではない。じわっと何処から出血したか分からないがとろりとろりと血海が出来たいく。
神姫「汚っ……。ちょっと、意識はあるんでしょ?」
髪の毛を鷲づかみにして無理矢理に独の顔を持ち上げた。
独「あ゛……い゛っ…」
口の中が切れたらしく鉄の味を味わいながら返事をする。
神姫「なら、行くわよ。三秒で立たないともう一回打ちつけるわ。一、二……」
独「た、たちまふっ!!」
神姫「よろしい。っで、そっちのヤツ」
熊彦「ごほごほっ!!くそっ、なんなんだっ……」
神姫「これの知り合いよ。病院送りは勘弁してあげるからとっとと失せなさい。コイツは連れてくから」
熊彦「ふっざけんなよ女ぁ!!」
神姫「……さい」
熊彦「あぁ?」
神姫「大人しく寝てなさい」
パンチでも蹴りでもない。熊彦の胸元をただ押しただけで巨体が壁の中にめり込んだ。その音たるや何かが爆発したような恐ろしい音。もちろん男はピクリもせず気を失っている。
独「……すげっ」
神姫「しまった、ちょっと力いれすぎた。死んだかも」
独「えぇっ?!」
神姫「冗談よ。多分鎖骨しか折れてないわ。さっ、逃げるわよ」
独「逃げるって……」
神姫「バカね。あんな音したよの警察がすぐ来るわ。捕まりたいならそこにいなさい」
独「ちょ、この人は?」
神姫「警察が病院つれてくわよ」