ー新伝ー伝説を継ぐもの【3】
ー亜細亜界:廃ビルー
弩躬「ちょ、ここも射程内っすか?!」
柏「あぁ、そこいら一帯は射程内だ。奴は俺は寸前で止めてもお前はまとめて切られるぞ」
弩躬「あぁ……柏さんは区別されるんすね…。」
柏「そう教育してある」
弩躬「調教では?」
柏「かもな……。しかし、壊すなと言っておいたが……無理かもしれないな」
「「…………」」
光臣は息を止める。もともと呼吸しているかどうか分からないほど浅く薄い呼吸を完全に停止させる。柄の最下部を握る。まるで細く長い木の枝が巻き付いたようにも錯覚する。生き物というにはあまりにも無機質。針のように鋭く放たれていた殺気すらも飲み込み、ただ、ただ、抜いて振るう動作だけをするモノと化した光臣。
紙袋を被った男は左手に握る小太刀を前に、右に握る太刀を胸の前にかざし。クロスに防御態勢になっていた。後手に回り、防ぐことに集中しないと受け流すことなど不可能だと察知したのだろう。
紙袋男「この一撃を防ぎきった上で貴殿を断つ。」
光臣「………ふっ。」
奴の声に反応したのか。それとも偶然か……口を閉じた瞬間、光臣は息を小さく吐いた。そして、大太刀が走った。風を切る音、鉄が裂ける音、コンクリが轢かれる音……有りとあらゆる物が一刀される音がした。ほんの一拍無音となりカチッと小さく刀が鞘に収まる音がした。
柏「あーあ、壊しやがったな」
弩躬「……」
紙袋男「……」
銀刃が二本中ほどから地面に落ちる。受け止めた。確かに斬撃は真芯で捉えていた。ただひとつの間違いは……受け止めるという覚悟を持った事だった。紙袋の下、首の部分から赤い液体がこぼれ出る。手から刀だったものが落ち、それ覆うように男は地面に伏した。血海が広がるのも無視して、光臣は柏のもとへ行き頭を下げた。
光臣「申し訳ありません。「飛英」「雄断」を壊してしまいました。」
柏「ったく……まぁ、しかたねぇ。そうなる予定だった。」
弩躬「「壊すな」っていうのは……刀の事だったんですね」
柏「そうだが?あ、光臣、残骸の回収しとけ」
光臣「御意」
柏「さてと……もしもし?」
『もしもーし?』
柏「……お前が探していた男を見つけた。ただし、瀕死だ」
『そっかー……んー……ちょーつとまってねん。ねーねー、瑠璃ちゃーん……』
柏「弩躬」
弩躬「はい?」
柏「死なないように止血しておけ。止血帯だ」
弩躬「え、あ、はいっ。」
『もしーも?まだ息はあるの?』
柏「今はまだある。っが……長くはない。辛うじて生きているというところだ。首を掻っ切った。」
『そっかー。んー……生きたまま欲しいかなん』
柏「難しい相談だな。お前らがくるまでは最低限の処置はしてやる。間に合うか間に合わないかはお前ら次第だ場所は……」
弩躬「石田さん、ちょっと手伝ってくださいよ。」
光臣「トドメを……か?」
弩躬「ちがっ……」
柏「おい、出来うる限り殺すな。」
光臣「御意。もっと傷口を抑えろ」
弩躬「……」
光臣「……なんだ?」
弩躬「いえ、何でも無いです」
柏「……あぁ、わかった。くれぐれも丁重に扱え。奴らのことだ五分くらいで来るぞ」
弩躬「コイツ誰かに引き渡すんですか?」
柏「王にだ」
弩躬「ちょ、ここも射程内っすか?!」
柏「あぁ、そこいら一帯は射程内だ。奴は俺は寸前で止めてもお前はまとめて切られるぞ」
弩躬「あぁ……柏さんは区別されるんすね…。」
柏「そう教育してある」
弩躬「調教では?」
柏「かもな……。しかし、壊すなと言っておいたが……無理かもしれないな」
「「…………」」
光臣は息を止める。もともと呼吸しているかどうか分からないほど浅く薄い呼吸を完全に停止させる。柄の最下部を握る。まるで細く長い木の枝が巻き付いたようにも錯覚する。生き物というにはあまりにも無機質。針のように鋭く放たれていた殺気すらも飲み込み、ただ、ただ、抜いて振るう動作だけをするモノと化した光臣。
紙袋を被った男は左手に握る小太刀を前に、右に握る太刀を胸の前にかざし。クロスに防御態勢になっていた。後手に回り、防ぐことに集中しないと受け流すことなど不可能だと察知したのだろう。
紙袋男「この一撃を防ぎきった上で貴殿を断つ。」
光臣「………ふっ。」
奴の声に反応したのか。それとも偶然か……口を閉じた瞬間、光臣は息を小さく吐いた。そして、大太刀が走った。風を切る音、鉄が裂ける音、コンクリが轢かれる音……有りとあらゆる物が一刀される音がした。ほんの一拍無音となりカチッと小さく刀が鞘に収まる音がした。
柏「あーあ、壊しやがったな」
弩躬「……」
紙袋男「……」
銀刃が二本中ほどから地面に落ちる。受け止めた。確かに斬撃は真芯で捉えていた。ただひとつの間違いは……受け止めるという覚悟を持った事だった。紙袋の下、首の部分から赤い液体がこぼれ出る。手から刀だったものが落ち、それ覆うように男は地面に伏した。血海が広がるのも無視して、光臣は柏のもとへ行き頭を下げた。
光臣「申し訳ありません。「飛英」「雄断」を壊してしまいました。」
柏「ったく……まぁ、しかたねぇ。そうなる予定だった。」
弩躬「「壊すな」っていうのは……刀の事だったんですね」
柏「そうだが?あ、光臣、残骸の回収しとけ」
光臣「御意」
柏「さてと……もしもし?」
『もしもーし?』
柏「……お前が探していた男を見つけた。ただし、瀕死だ」
『そっかー……んー……ちょーつとまってねん。ねーねー、瑠璃ちゃーん……』
柏「弩躬」
弩躬「はい?」
柏「死なないように止血しておけ。止血帯だ」
弩躬「え、あ、はいっ。」
『もしーも?まだ息はあるの?』
柏「今はまだある。っが……長くはない。辛うじて生きているというところだ。首を掻っ切った。」
『そっかー。んー……生きたまま欲しいかなん』
柏「難しい相談だな。お前らがくるまでは最低限の処置はしてやる。間に合うか間に合わないかはお前ら次第だ場所は……」
弩躬「石田さん、ちょっと手伝ってくださいよ。」
光臣「トドメを……か?」
弩躬「ちがっ……」
柏「おい、出来うる限り殺すな。」
光臣「御意。もっと傷口を抑えろ」
弩躬「……」
光臣「……なんだ?」
弩躬「いえ、何でも無いです」
柏「……あぁ、わかった。くれぐれも丁重に扱え。奴らのことだ五分くらいで来るぞ」
弩躬「コイツ誰かに引き渡すんですか?」
柏「王にだ」