ー新伝ー伝説を継ぐもの【3】

ー新宿:亜細亜通りー

弩躬「さて、じゃ……いくかな。あのー、すんません」

強面の男「……」

弩躬「完全無視か……えーと、このくらいでいいかな」

【2000円】

強面の男「……」

弩躬「ちっ、ガキの使い程度じゃダメか……」

【5000円】

強面の男「……」
スッ…

弩躬「おっ……通っていいんだな?」

強面の男「……」

弩躬「じゃ、失礼。」






ー亜細亜通り:内路ー

「オニイさん、オニイさん。いいものアルヨ、見てカナイ?」

「マッサジどう、マッサジ?」

「ぶっぶっぶっぶっ……」

弩躬「うっは……予想以上に人多いっ!こんな狭い場所によくこれだけ露天できるな……明らかに怪しい呼びこみも居るけど……」

「おい、兄ちゃん。薬あるぞ、買わないか?」

弩躬「薬って…俺がそんなもんやってるように見えるか?」

「生薬は体調を崩す前に飲んで予防していくんだよ。ほら、良かったら見てきな、蛇なんてオススメだぜ」

弩躬「蛇って漢方屋か?」

「そう、精力もつくぜ?なんならすぐ粉にしてやるよ。」

弩躬「いらない、いらない。それよりアンタ日本語うまいな」

「俺は日本人だからな」

弩躬「あ、そうなんだ……ここに住んでるのか?」

「ここは浮浪者にも中々住みやすいんだよ。税金もかからねぇしな。」

弩躬「うーわ……。まぁ、いいや、日本語が通じるなら聞きたいんだけど」

「タダじゃなぁ……。漢方茶一杯500円とかあるけど」

弩躬「ちっ……変な薬入ってねぇだろうな」

「入ってないぜ。どの茶が良い?抜け毛、冷え症、生理痛、口臭、不眠症、どの効能に利く茶が良い?」

弩躬「別にどれにも悩んでないけど……冷え性だったら何茶?」

「ライチ紅茶ベースにクコの実、紅花、シナモンをブレンドしてる」

弩躬「じゃ、それでいいや」

「毎度。」

弩躬「既に5500円の出費……って茶、紅っ?!」

「それでなにが聞きたいんだ?」

弩躬「あぁ、人探してるんだけど」

「そりゃ無理だな」

弩躬「なんでだよ」

「ここに潜った人間見つけるのはそれだけ難しいんだよ」

弩躬「まいったなぁー……」

「ちなみにどんな奴だ?」

弩躬「日本刀もった紙袋被った男」

「あぁ、その人なら知ってるよ」

弩躬「知ってのかよ?!」

「有名人だぜ。なにせずっーと紙袋被ってるしな」

弩躬「マジで被ってんだ……」

「だったら、明日の五時にまた出直してくるといい。あの人、必ず午後五時、ウチの店に茶のみに来るから」

弩躬「出直しって……来たばっかりの上、5000円も取られてるんだぞ?」

「じゃあ、探してもいいけど多分見つからないぜ。この時間帯からは人通りも増えるし」

弩躬「……ちくしょう」
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