ー新伝ー伝説を継ぐもの【3】

ーとある空き地ー

弩躬「実戦は無理か?」

独「いきなりはキツ過ぎます」

弩躬「そっか。じゃあ、俺と組手でどうだ?」

独「今のさっき吐くほど痛めつけられたのに?しかも、結局実戦……」

弩躬「あんまり喋らないって聞いてたけどわりとよくしゃべるんだな」

独「神姫さんに話しかけるのは怖いだけです」

弩躬「それ、あとで報告していいか?」

独「目的は金ですか?それとも土下座でもしましょうか?」

弩躬「冗談だからそんな卑屈になるなよ。」

独「すいません」

弩躬「独はもーちょい自信もて」

独「母のお腹の中においてきてしまって……」

弩躬「そういうこという勇気はあるんだな」

独「テンパってるんです」

弩躬「……まぁいや、俺は回避とガードしかしないから好きにかかって来い」

独「いいんすか?」

弩躬「反撃するって言ったら逃げるだろ」

独「捕まるでしょうけどね」

弩躬「じみーにイライラしてきてるからちゃんとしてくれないか?」

独「ホントにごめんなさい」

弩躬「じゃあこい」

独「いきますっ!」

バッ!ひょいっ…
バッ!ひょいっ…
バッ!ひょいっ…
バッ!ひょいっ…

弩躬「もっと腰入れろ腰っ!そんなんじゃ当たりもしないぞ!」

独「はっ!ふっ!」

バッ!ひょいっ…
バッ!ひょいっ…
ギュッ!ごっ…

弩躬「そうだ。今くらいのやつ打ってこい。それと、単純にパンチだけでなく足も使え。何のために長い脚もってんだ。飾じゃないだろ!足が飾で許されるのはジオングだけだぞ。」

独「じ、ジオング?」

ギュッ!ごっ…
ギュッ!ごっ…
ビュバッ!バシッ…

弩躬「むっ……良い蹴り出せるじゃないか。お前、足を軸に闘えよ。右ロー、左ロー、右ミドルだしてみろ」

独「んんっ!」

ドッ!ごっ…
ドッ!ごっ…
ビュバッ!ドゴッ…

弩躬「いいぞ、その調子だ。」

独「はぁはぁ……」

弩躬「なんだ、もう息切れしてるのか……。よし、いったんストップ」

独「はぁはぁ……やっぱ俺スタミナないなぁ……ぜぇはぁ。」

弩躬「確かにないな。そんなんじゃ最終ラウンドまでにやられるぞ」

独「いつからぜぇ、俺はぜぇ…はぁ……ボクサーになることに?」

弩躬「なんか目的がないとダメだろ。面白くもないし。」

独「えぇ……」

弩躬「じゃあ、なにかあるのか?」

独「えーと……」

弩躬「もしかして……女か?」

独「まぁ、女と言えば女です……ね。そういうのって動機が不純すか?」

弩躬「いんじゃね?」

独「軽っ…」

弩躬「武術の根っこっていうのは弱者が兵(つわもの)から身を守るために生まれたんだし。女を守りたいっていうのだって変わらないだろ」

独「そんな大それた志じゃないんですけど……」

弩躬「ま、今さっき偉そうなこといった口だが……動機とかは何でもいいんだよ。目的があることが大事。例え復讐だろうが人殺しのためだろうが世界平和のためだろうが」

独「ちなみに弩躬さんは?」

弩躬「俺は……世界征服?」

独「ぱねぇ…。」
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