ー新伝ー伝説を継ぐもの【3】

ーとある空き地ー

「ここらへんかな……あ、ちょっと君」

独「……え、はい?」

「長身で髪長……何処となく幸薄そう」

独「んん?」

「君、天涯孤独君?」

独「……孤独じゃなくて天涯独です」

「あれ……聞き間違いかな」

独「あの、誰ですか?なんで俺のことを?」

「あぁ、ごめん、ごめん。神姫の姉さんに頼まれて今日は俺が君の鍛錬見るってことになってるんだけど……聞いてない?」

独「いえ、全然」

弩躬「はは……姉さんらしいわ。あ、自己紹介が遅れたな。俺は弩躬、鳥居弩躬だ。呼びやすいように呼んでくれ」

独「じゃあ、鳥(ちょう)さん」

弩躬「まさか、そうくるとは思わなかった」

独「あ、ダメでした?」

弩躬「ダメっていうか……自分面白いね」

独「恐縮です」

弩躬「度胸もあるみたいだな。」

独「ごめんなさい。それは無いです」

弩躬「それで……姉さんからは本気でしごいてくれっていわれてるんだけど」

独「優しく手加減してください」

弩躬「俺そういうの苦手なんだよね。矢っていうのは一度放たれたら帰り道がないし」

独「なんの事っすか?!なんのことっすか?!」

シャッ
弩躬「……コレ何だかわかる?」

独「ダーツ……ですか?」

弩躬「そうそう。ダート、これは穂先が針じゃなくゴム球なんだけど……当たると結構痛いよ」

独「そうでしょうね」

弩躬「じゃ、避けて」

独「……はい?」

弩躬「あ、避けなくてもいいや。弾いてもいいし受け止めてもいい。とりあえず君の身体能力をみたいから好きに動き回っていいよ」

独「……投げるんですか?」

弩躬「投げる?」

独「いや、ダーツって投げて当てるもんでしょ?」

弩躬「あぁ、そういうことか。走りまわってたら当てられるわけがないと」

独「そんなこと言ってないですよ!?」

弩躬「その事に関しては少し勘違いしてるから言っておくよ。投げるんじゃなく撃つから」

独「……撃つ?」

弩躬「そっ、撃つ。」

キリリリッ……ヒュッン!

チッ
独「……」

ドンッ!!

弩躬「こんな感じ。俺は手弓と名付けてる。さっ、分かったら防いでね10本ほど撃つから」

独「無理無理!今見えなかったです!早すぎです!っていうか、壁ドンつていった当たったら洒落にならないです!!」

弩躬「最悪骨にヒビ入る程度だよ。ほら、いくよ」

バスッン!
独「うをっ?!」

弩躬「おっ、避けれるじゃん。」

独「ちーがーう!!当たらなかっただけっ!!」

弩躬「またまたっ!」

バスッン!
独「ひっ!?」

弩躬「へぇ……(僅かに急所からずらしてるとはいえ避けれてるなぁ)」

独「ヤバいヤバいヤバい!!」

弩躬「もうちょい、強く撃つよ?」

独「やーめーてぇっ!!誰か助けて!」

弩躬「いやいや、助けてはないでしょ。連発いくぞー」

バスッン!
チッ……
独「うっ…か、かすった……顔かすった……」

弩躬「あ、止まったら」

独「えっ?」

ドッ!ゴッ!ボッ!!

弩躬「やべ……フルヒットした」
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