ー新伝ー伝説を継ぐもの【3】

ー池袋:路地裏ー

枢「それじゃ、ボクはここで失礼する。なにか分かったらすぐに連絡くれ」

梔「えぇ、わかりました。ほな、お疲れさんどす」

枢「くふふっ。」

梔「さてと……うちはどないしましょか……あら?」

紅「ん?」

梔「あらあら、えーと……紅ちゃんどしたな?」

紅「悠の姉さん……どしたんすかこんなところで」

梔「ちょっと色々ありまして、どないしょうかなーっておもてたところなんどす」

紅「こんな路地裏で?」

梔「はい~」

紅「どうしょうかって……道にでも迷ったとか?」

梔「まだ、迷ってはないどすえ」

紅「「まだ」ってのはこれから迷うかもしれない的な?」

梔「おもて通りまで案内してくださったら平気なんどすけど…」

紅「……いっしょに行きますか?俺も結構方向音痴だけどさすがに池袋では迷わないし」

梔「おおきに」

紅「……」

梔「……」

紅「……」

梔「……」

紅「(話題がねぇ…)」

梔「そうそう、紅ちゃん」

紅「はい?」

梔「蒼天塔いうんは何処らへんにあるかしっとりますえ?」

紅「蒼天塔?それだったら、こっからでも見えますよ。ほら、アレ。あの鉄塔無駄に目立ってるやつ」

梔「はぁ……スカイツリーとはちゃうのん?」

紅「よく間違うひと居るけどスカイツリーは墨田区、蒼天塔は豊島区。」

梔「あらあらぁ、紅ちゃんよう知ってはりますなぁ」

紅「まぁ、グーグルマップとか見たらおおよそ一発で分かりますから。」

梔「あぁ、なるほど……そういう手段もあったんどすなぁ」

紅「あそこ行きたいんスか?」

梔「うーん……いかないかんかもしれんねぇ」

紅「はぁ……まぁ、どっちにしろ今日は無理ですね。もう閉まってるだろうし」

梔「ふーん……裏のほうは?」

紅「裏?」

梔「ほら、もうひとつのほうどす」

紅「……あ、もしかしてもう一つのほうっすか?」

梔「えぇ、そうどす」

紅「あっち側は当然開いてると思いますけど……いくんですか?」

梔「いえ、今日のところは……けど、もしかしたら明日には行くかもと思いましてなぁ」

紅「それはまた……何用で?」

梔「いえいえ、ただの私用どす」

紅「とんでもないところに私用があるんだな……」

梔「ホンマやったらうちもゆっくりと観光したりしたいんどすけど」

紅「観光と闘技場とはえらい違いがある気がするけど」

梔「「偉い」と「違い」ってよう似とりますなぁ」

紅「あ、ホントだ」

梔「うふふっ」

紅「あはは……って、いやいや、そーじゃないっしょ」
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