ー新伝ー伝説を継ぐもの【3】

ー焼き肉屋:鉄ー

白嶺「さっきの人のお名前は?」

凍夜「ん、あぁ、彼は御伽ヶ島左近君。ちよっとした知り合いだよ」

ジュゥ~……

白嶺「名簿にそういう名前の人は居なかったはずですけど」

凍夜「俺が個人的に融資している顧客だからね。ほらほら、お肉焼けてるよ」

ジュゥ~……

白嶺「個人的な融資は構いませんが……手軽に二本も出すというのはいかがなものでしょうか。あむっ。」

凍夜「手厳しいなぁ……。」

ジュゥ~……

白嶺「追加しますね」

凍夜「断定だったね今」

白嶺「すいませーん」

金剛「はい?」

白嶺「オススメを二人前ずつ見繕ってもってきてください」

金剛「はい、毎度」

凍夜「あ、ついでにビールもひとつ」

金剛「はい、よろこんで」

白嶺「凄い店員さんですね」

凍夜「店員で収まってるような人じゃないと思うけどねアレは……」

白嶺「っで、どういう関係ですか?」

凍夜「あれ、その話まだ続いてるんだ」

白嶺「他の話題もありませんから」

凍夜「それはそれで寂しいな……。まぁ、いいけどさ、彼と俺は遠い親戚。親と折り合いが悪くてね俺がときどき親代わりになってるってわけ」

白嶺「幾つですか?」

凍夜「確か……18かそこらだったはずだよ」

白嶺「じゃなくて社長ですよ」

凍夜「んふふ」

白嶺「伏せる必要がある歳だと?」

金剛「和牛盛りとビールお待ちどう様です」

凍夜「あ、ほらほらお肉来たよお肉」

白嶺「……サラダ盛り合わせもお願いします」

金剛「はい、どうもです」

ゆえ「こっちもちゅーもん……」

金剛「わかったわかった、今行くから待ってろ」

凍夜「おっ」

白嶺「どうかしました?」

凍夜「いま、ちらっと美人な子が見えた」

白嶺「そうですか」

凍夜「あっ、そうだ美人で思い出した。左近君だけどなんか美人のお嬢さんに仕えてるらしくてね。ただ……そのお嬢さんが癖者っぽくて結構厄介者らしい」

白嶺「へぇ」

凍夜「ま、向こうの事だからおれが口を挟むことじゃないんだけど」

白嶺「けど、二百万ものお金を貸し渡して平気なんですか?」

凍夜「んー……もし、何かに失敗したらそこは自己責任ってことで」

白嶺「甘いんだか冷たいんだか分かりませんね」

凍夜「可能性には力を貸して、失敗は自分で取り戻す。それが出来ないのなら身の破滅も仕方ないってことだよ」

白嶺「ふむ……なら、社長もちゃんと集金してください。」

凍夜「あちゃー……結局そうなっちゃうかぁ」






その頃……魔天楼にて……

窈「……閉まってるし!」
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