ー新伝ー伝説を継ぐもの【3】
ーとある事務所ー
窈「ふぁぁ……。」
小鳥「おはようございます……って、あれ、小鳥遊さん」
窈「あぁ、小鳥さんおはようございます」
小鳥「どうしたんです?今日からオフだったんじゃあ?」
窈「いゃぁ……ちょっと書類整理と調べ事してたら今までかかっちゃって」
小鳥「貫徹ですか……」
窈「はは……帰って寝ます。あと、これ捨てといてください。」
トサッ……。
小鳥「あ、はい、お疲れさまでーす。……松永工業?」
ー池袋界隈ー
窈「あぁ……太陽がまぶしいなぁ……んー……はー……あ、小銭が落ちてる」
ガゴォンッ!!
「ちっ!」
窈「なっ?!」
頭の上を何かが通り過ぎて後ろでとてつもない音がした。屈んだ姿勢を更に前へと重心移動させて転がってその場から脱出した。立ちあがって見てみると昨夜のトンファー男が居た。ただし、手に持っているのはロングトンファーでなくて……工場で使われてそうな持ち手の部分がやたら長いハンマーだ。
ハンマー男「っとと……重てぇな。コレ……しかしっ、よく避けれたな。」
壁に突き刺さった槌の部分をひっこ抜いて、地面に落とした。ズンっと地鳴りがして綺麗なアーケードタイルが何枚か割れる。
窈「お前……そんなもん当たったら死ぬぞ」
ハンマー男「よっこいしょ……昨日の借りも含めての一撃必殺狙ったんだけどな。」
窈「話聞けよ……。」
ハンマー男「さぁて、お金稼ぎた。今度こそ……潰れてもらうぜっ!!」
奴は大ぶりで金槌を落としてきた。轟っと空気を潰して地面を叩き割る。衝撃と破壊力こそ恐ろしいがスピードはトンファーの時と比べるとかなり遅い。余力を持ってバックステップで避けた。反撃に出よう殴りかかった刹那、やつは柄をまっすぐに引っ立てた。木材の棒ではなく鉄の棒、そんなものに拳をぶつけた結果、皮膚が裂けて弾き返されてしまう。
窈「ぐぁっ……!!」
ハンマー男「こっの……はぁっ!」
奴は刺さった槌部分を引っ込ぬいて下段から振り上げた。凶撃が自分の手を吹き飛ばそうとする。窈はとっさに腕横に振った。ビッと布が引っかかって破けたような音……。
窈「ぐっ……?!」
ほんの少しかすっただけで小指と薬指の爪が捥げてしまった。パタパタと皮膚一枚で繋がって揺れる爪を噛んで無理矢理張りつけた。
ハンマー男「次は骨だ」
窈「っ……はぁ……目が一気に覚めたぞコラ。」
ハンマー男「へっ!」
奴はハンマーの打ち面ではなく頂点を地面に突き立てた。そして、それを軸にして両足を揃えて飛んでくる。所謂ドロップキックだ。勢いが乗って鋭角な蹴りだがやはり直線的で避けるのは容易い。着地地点に狙いを合わせて肘をぶつけようとしたが、着地と同時にやつは両腕を限界まで引っ張って軸にしたハンマーを振り下ろしてきた。
窈「っ!!」
踏みとどまって身体の芯が悲鳴をあげるほど翻ったが、こめかみから目じり、頬肉、下顎へと真っすぐに一筋分の肉を削ぎ落される。
ゴォンっと槌が落ちる音を耳にして窈は腕を伸ばした。ハンマー男の胸ぐらを掴んで引き込み、自分もまっすぐ頭を持っていく。ガヂンっと今までとは違った轟音。
ハンマー男「ガフッ?!」
窈「こっの!!」
カヂン!ガヂン!ガヂン!ガヂン!ガヂン……ぐじゅ!何度か続く轟音がいつしか水気を帯びた音になった時、窈は男を突き飛ばした。地面に仰向けに倒れるがピクリともしない。胸が上がったり下がったりしているので生きてはいるだろうが顔は潰れたトマトのようになっている。
ハンマー男「……」
窈「はぁはぁ……くっそ。あーもう……帰ってシャワー浴びて寝るっ!」
ハンカチで顔の傷を抑え、突き立ったままのハンマーを蹴り倒して窈はその場を後にした。
窈「ふぁぁ……。」
小鳥「おはようございます……って、あれ、小鳥遊さん」
窈「あぁ、小鳥さんおはようございます」
小鳥「どうしたんです?今日からオフだったんじゃあ?」
窈「いゃぁ……ちょっと書類整理と調べ事してたら今までかかっちゃって」
小鳥「貫徹ですか……」
窈「はは……帰って寝ます。あと、これ捨てといてください。」
トサッ……。
小鳥「あ、はい、お疲れさまでーす。……松永工業?」
ー池袋界隈ー
窈「あぁ……太陽がまぶしいなぁ……んー……はー……あ、小銭が落ちてる」
ガゴォンッ!!
「ちっ!」
窈「なっ?!」
頭の上を何かが通り過ぎて後ろでとてつもない音がした。屈んだ姿勢を更に前へと重心移動させて転がってその場から脱出した。立ちあがって見てみると昨夜のトンファー男が居た。ただし、手に持っているのはロングトンファーでなくて……工場で使われてそうな持ち手の部分がやたら長いハンマーだ。
ハンマー男「っとと……重てぇな。コレ……しかしっ、よく避けれたな。」
壁に突き刺さった槌の部分をひっこ抜いて、地面に落とした。ズンっと地鳴りがして綺麗なアーケードタイルが何枚か割れる。
窈「お前……そんなもん当たったら死ぬぞ」
ハンマー男「よっこいしょ……昨日の借りも含めての一撃必殺狙ったんだけどな。」
窈「話聞けよ……。」
ハンマー男「さぁて、お金稼ぎた。今度こそ……潰れてもらうぜっ!!」
奴は大ぶりで金槌を落としてきた。轟っと空気を潰して地面を叩き割る。衝撃と破壊力こそ恐ろしいがスピードはトンファーの時と比べるとかなり遅い。余力を持ってバックステップで避けた。反撃に出よう殴りかかった刹那、やつは柄をまっすぐに引っ立てた。木材の棒ではなく鉄の棒、そんなものに拳をぶつけた結果、皮膚が裂けて弾き返されてしまう。
窈「ぐぁっ……!!」
ハンマー男「こっの……はぁっ!」
奴は刺さった槌部分を引っ込ぬいて下段から振り上げた。凶撃が自分の手を吹き飛ばそうとする。窈はとっさに腕横に振った。ビッと布が引っかかって破けたような音……。
窈「ぐっ……?!」
ほんの少しかすっただけで小指と薬指の爪が捥げてしまった。パタパタと皮膚一枚で繋がって揺れる爪を噛んで無理矢理張りつけた。
ハンマー男「次は骨だ」
窈「っ……はぁ……目が一気に覚めたぞコラ。」
ハンマー男「へっ!」
奴はハンマーの打ち面ではなく頂点を地面に突き立てた。そして、それを軸にして両足を揃えて飛んでくる。所謂ドロップキックだ。勢いが乗って鋭角な蹴りだがやはり直線的で避けるのは容易い。着地地点に狙いを合わせて肘をぶつけようとしたが、着地と同時にやつは両腕を限界まで引っ張って軸にしたハンマーを振り下ろしてきた。
窈「っ!!」
踏みとどまって身体の芯が悲鳴をあげるほど翻ったが、こめかみから目じり、頬肉、下顎へと真っすぐに一筋分の肉を削ぎ落される。
ゴォンっと槌が落ちる音を耳にして窈は腕を伸ばした。ハンマー男の胸ぐらを掴んで引き込み、自分もまっすぐ頭を持っていく。ガヂンっと今までとは違った轟音。
ハンマー男「ガフッ?!」
窈「こっの!!」
カヂン!ガヂン!ガヂン!ガヂン!ガヂン……ぐじゅ!何度か続く轟音がいつしか水気を帯びた音になった時、窈は男を突き飛ばした。地面に仰向けに倒れるがピクリともしない。胸が上がったり下がったりしているので生きてはいるだろうが顔は潰れたトマトのようになっている。
ハンマー男「……」
窈「はぁはぁ……くっそ。あーもう……帰ってシャワー浴びて寝るっ!」
ハンカチで顔の傷を抑え、突き立ったままのハンマーを蹴り倒して窈はその場を後にした。