ー新伝ー伝説を継ぐもの【3】

ー魔天楼ー

窈「いっっ……。」

凍夜「自業自得でしょう」

窈「はぁ?襲われて自業自得は無いだろ。痛っ……。」

白嶺「大げさですよ。ちょっと額が裂けた程度で」

窈「壁に叩きつけられたんだよ?大げさどころか暴行だ」

凍夜「はは」

窈「笑いごっちゃ無い!」

白嶺「はい、終わりました。」

窈「ありがと」

凍夜「ま、さっきもいったけど自業自得でしょ。悠君のフリをしなければ少なくとも襲われはしなかっただろ」

窈「いや、ああいうタイプは話が通じる輩じゃない」

凍夜「そうかな」

窈「そうだよ。」

凍夜「まぁ、いいけど……ちゃんと払うものさえ払っていただければ」

窈「……はい、今月分」

白嶺「確かにいただきました。」

窈「世知辛いなぁ」

凍夜「世の中そんなものさ甘い部分をむさぼってばかり居たら虫歯になっちゃうし」

窈「どんな例えなんだか……」

凍夜「ま、これはサービスしとくよ。車じゃないから飲めるでしょう」

窈「俺はもうアフターだけど、そっちは仕事中じゃねーのかよ」

凍夜「今日最後のお仕事はこれで終わりだからいいんだよ……ね?」

白嶺「ギリギリ合格点です」

凍夜「ほらっ」

窈「どっちが社長なんだか」

凍夜「はは。」

窈「そうだ……話のタネに聞くが松永って名前にってあるか?」

凍夜「松永……松永……あ、そういば」

窈「知ってるのか?」

凍夜「松永って言えば株式会社ダンジョーじゃないか?」

窈「株式会社ダンジョー?なんの会社だ?」

凍夜「産業用火薬類。それの営業部門を統合して火薬、爆薬、火工品の総合販売技術研究の大きな会社にしてたはずだ。昔一度、統合前に会社にいったことがあるからよく覚えてるよ。」

窈「なんで、金貸しがそんなところに?」

凍夜「金貸しになる前の話し」

白嶺「火薬と爆薬の違いって何です?」

凍夜「火薬には爆燃によるガスの発生によって、銃砲弾等を発射するための発射薬と、ロケットの場合のように高温・高圧のガスをノズルから噴射して進んでいく推進薬。爆薬には雷管などに用いられる起爆薬、岩石などの爆破に用いる爆破薬と砲弾などに装てんして用いられる炸薬。火工品には導火線や導爆線、電気雷管等だよ。株式会社ダンジョーはこれら火薬類のなかで、資源開発や国土・海洋開発などに使用される産業用爆薬と電気雷管等の火工品を提供している会社さ」

窈「なんでそんな企業が悠を闇打ちする?」

凍夜「さぁ……そんなことまでは分からないけど。」

窈「悠も訳の分からない交友関係があったり、訳の分からない恨みをかってるしなぁ」

凍夜「とりあえず、ちゃんと報告しといた方がいいんじゃないか?」

窈「うーむ……正直伝えにくいんだよなぁ。結局逃げられちゃったし」

凍夜「ま、それも含めて自業自得」

窈「……なんかい自業自得っていうんだよ」

白嶺「ご自身でいったのを含めて四回目ですね」

窈「……」

凍夜「ははははっ。」
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