ー新伝ー伝説を継ぐもの【3】

ー和龍軒ー

紅「デートじゃないのか?」

独「違いますって……。」

京「絵を見に来たんだぞ」

紅「絵?」

弩躬「あぁ、美術館のか?」

紅「知ってんのか……っていうか何処のだよ」

弩躬「池袋にいるんだから池袋に決まってるだろ」

紅「あぁ、それもそうか」

独「続けていいですか?」

紅「あぁ」

独「文化会館でやってる絵の博覧会を見て感想書いてくるっていう春休みの宿題があって、その美術館のチケット配られてるんです。」

紅「へぇ」

弩躬「ふーん」

独「あ、聞いといて興味ないぞこの人ら」

京「でも凄いんだぞ。己とは違うクラスの人がそこで絵を表彰されるんだって」

紅「ほー、そりゃ凄いな」

弩躬「なるほど、だからチケットなんか渡されてるのか」

紅「それでも良いんじゃね。コイツみたいに女誘えば洒落たデートみたいだし」

独「けど、よくない噂が出てるんですよね」

弩躬「よくない噂?」

独「つまんない噂ですけど聞きます?」

紅「話しの種だいってみろよ」

独「俺も詳しくは知らないんですけど……いま、吸血鬼が出てるって騒ぎしってますか?」

紅「あ?」

弩躬「え?」

独「な、なんすか。怖い顔して」

紅「いいから、座って続けろ」

独「あ、はい……噂ですよ?その美術館に飾られた絵から毎夜吸血鬼がでてきて人を襲っているっていわれてるんです」

紅「絵から吸血鬼が?」

弩躬「っていうか吸血鬼の絵なんか描いたのか?」

独「おれも実物を見たこと無いんで分からないですけど……あくまで噂ですから」

紅「……どう思う?」

弩躬「無理矢理推理するなら。なにかの拍子で絵から召喚された吸血鬼が夜な夜な出てきて女を襲っては力をつけてついに本領発揮?」

紅「あり得ないな」

弩躬「ふーむ……しかし、絵か」

京「絵が気になるなら見にいったらいいんじゃないか?」

紅「なんか分かんないけど……気になるな」

弩躬「そうだな。いっちょ行ってみるか」

京「じゃあ、みんなで行こう!」

独「あの、全然話しが見えないんですけど」

紅「俺らもよく分かってないから気にすんな」

弩躬「そーそ」

独「はぁ……」

弩躬「ちなみに悠からの連絡は?」

紅「電話およびメールもなし」

弩躬「本当に繋がらないんだな」

紅「ああ、全然だ」

京「悠お兄ちゃんも来るのか!!」

紅「いやー……来ないかな」

京「そう……か」

弩躬「超落胆した?!」

紅「これは……なんかスマン」
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