ー新伝ー伝説を継ぐもの【2】

ー電車内ー

包帯の少女「なん……ですか?」

紅「あー、誤解無いようにいっとくけどカツアゲとか恐喝じゃないから、この男悪そうだけど」

弩躬「あれ、俺だけ?」

紅「俺かお前かっていったら……お前だろ」

弩躬「そっかな……。」

包帯の少女「あの……」

紅「あ、ごめんごめん。」

弩躬「ぶしつけな質問させてもらうけど……君、もしかして吸血鬼に襲われた子?」

包帯の少女「なんだ……また、その話しですか」

紅「また?」

包帯の少女「いろんな人に聞かれたんです」

弩躬「そんなに噂になってるのか」

包帯の少女「不本意ながら……携帯のコミュニティサイトで」

紅「また、それか……コミュニティサイトこえぇな」

弩躬「ネットなんてそんなもんだろ。俺もツィッターしてるし」

紅「禅もそれ系は網羅してたな……。」

包帯の少女「それで……結局何が聞きたいんですか?」

紅「あ、そだそだ。吸血鬼みたのか?」

包帯の少女「はい、私は見たと自覚してます。他の人は誰も信じていませんけど……」

紅「マジか……。」

弩躬「どんなだった?容姿とかどうやって現れたとか」

包帯の少女「……お話したらもう放っておいてくれますか?」

弩躬「わかった。約束する」

包帯の少女「時間は……夜中前だったと思います。私は自室にいました。私の部屋は二階何ですけど。そろそろ寝ようかと思っていたら、不意に影がさしたんです。何だろうと思って振りかえったら……窓の外に真っ黒なマントっていうかボロボロの布を被った男が浮いてたんです」

紅「浮いてたって……空に?」

包帯の少女「はい。そして、私が固まっているとその男が黒い霧みたいに霧散して窓をすり抜けてきました。私の目のまえで人型になって首を噛みつかれました。」

紅「……」

弩躬「……」

包帯の少女「気がついたときには病院に運ばれてました。母がいうには私は部屋で首から血を流して倒れてたそうです。お医者さんがいうには出血量は少なかったのに貧血だったとか……。」

紅「つまり吸われたって事か……?」

包帯の少女「私はアレが夢とか妄想だとは思えません……これで、全部です」

弩躬「ふーん……。」

包帯の少女「もういいですよね。駅にも着いたし失礼します」

紅「あぁ、ありがとう」

弩躬「どう思う?」

紅「どうって……吸血鬼が本当にいるなんてどーしても思えない。例え悠に貞子たんが捕り憑いてたり、化け狸のおっさんや九尾の狐がいたとしても」

弩躬「むっちゃ具体的な例えがあって一層バンパイアが居てもおかしくない気がしてきたんだけど」

紅「でも、ここにきて急に存在が具体的になったよな」

弩躬「……吸血行為で力がついて来たとか?」

紅「……そう聞くと中々怖いな」

弩躬「怖いな……。っていうか、降り損じたな」

紅「いいよ。次の駅まで脳内休憩だ。」

弩躬「ついでに駅着いたらカロリー摂ろう腹減ってきたし」

紅「だな」
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