ー新伝ー伝説を継ぐもの【2】

ーヲユミヤライ(小雑貨店)ー

紅「結構迷ったな……」

弩躬「裏路地はおたくらの専門場じゃなかったっけ?」

紅「ケースバイケースだ。俺が街の雑貨屋さんに詳しそうに見えるか?」

弩躬「全然。」

紅「だろう。だーだ……」

弩躬「閉まってるな」

紅「あぁ。なーんか余計妖しくね?」

弩躬「吸血鬼は日中は出歩けないってか?」

紅「どうだろうなぁ」

「あら、なにか御用かしら?」

紅「?!」

弩躬「!?」

「驚かしてごめんなさい。そこ、私のお店なの」

紅「ってことは……アンタが店主か?」

「えぇ、そういうことになるわね。なにか御用?今日はお休みなんだけど……?」

紅「あーいや、ちょっとツレから話を聞いて見にきただけなんで」

弩躬「結構ガキの間でも流行ってるらしいし」

「あら、嬉しいわね。うふふっ……それで、本当はお姉さんになにを聞きに来たの?」

紅「へぇ、なんか聞かれるような身に覚えが?」

「泊めて欲しいんじゃないの?」

弩躬「泊める?なんの話し?」

「あら……家出して行く当てがないから私に頼ってきたんじゃないの?」

紅「いや、全然話しが見えてこない」

弩躬「俺達は吸血鬼騒ぎの話を聞きに来たんだ」

「あら……そう。ここじゃなんだから中でお茶でも飲みながら話さない?」

紅「……」

弩躬「……」

「それとも私が吸血鬼って思ってる?」

紅「いや、吸血鬼だったら……こっちも考えもあるし」

ズズっ……

弩躬「手荒い真似とか脅しとかはしたくないんで……普通な話し合いを期待します」

チャ……

「バットにダーツなんて。ふふっ、乱暴されちゃうのは怖いわね。さ、中にどうぞ」





ーヲユミヤライ:店内ー

紗季「自己紹介が遅れたわね。私は生実紗季よ。」

紅「赤木皇、みんなからは紅って呼ばれてる」

弩躬「鳥居弩躬です」

紗季「紅くんに、弩躬くんね……。それであなた達は襲われた子たちの彼氏さんかなにか?」

紅「いいや、全然」

弩躬「本当に吸血鬼が居るなら倒してみようと思ってるだけ」

紗季「おもしろいのね」

紅「ま、暇つぶし的な事だから」

弩躬「聞いた話によると……この店の近くで被害に遭ってるらしいですね」

紗季「えぇ、私も驚いたわ。今日だって朝からそのことで警察の人に話を聞かせてくれって呼ばれてたもの」

紅「ふーん」

弩躬「ということは……」

紗季「単刀直入にいうと私は吸血鬼じゃないし関わっても無いわ。本当よ。けど、私も迷惑しちゃってるのよ。そんな噂が立ったら色々と困るし」
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