ー新伝ー伝説を継ぐもの【2】

ー鳥居神社:本堂ー

紅「悠は十神将の一員じゃないんだよな」

弩躬「正確にいえば十神将は総称だ一員ていうもんじゃなくて、四季家+九頭竜、百目鬼、猿渡、天馬、駒裡、さして鳥居の十家のことを表す言葉だ。だから仮に鳥居家が無くなって仮に本間がなり変わっても十神将だ」

鳳「あら、それは私だと役不足だといいたいのかしら?」

弩躬「!?」

鳳「ちょっと湯浴みをしていたのよ。今夜は蒸れる夜ね。蒸し暑いわ」

紅「(エロい)」

弩躬「(エッロ)そうでしたか、それは失礼しました」

鳳「いいのよ。ただ、女性の歳の詮索はいただけないけれどね。」

紅「?!」

弩躬「!?」

鳳「ふふっふふふっ。」

弩躬「きっ!?聞いてらしたんですか?」

鳳「あら。本当にしていたの?」

弩躬「うっ……。」

鳳「それより、揚羽ちゃんを見つけて来たのねご苦労さま」

弩躬「あ、いえいえ、素直に」

紅「素直?」

弩躬「……」

鳳「あのオテンバちゃんは手こずったでしょ」

弩躬「……はい。でも、よく逃げだせたもんっすよ。見張りだって用意してたのに。巫女だけど……それでも誰にも見つからずにどうやって脱出したのか……」

紅「人目を掻い潜って逃げる方法なんていくらでもあるだろ。本気で監禁して小部屋に閉じ込めてる訳でもあるまいし」

弩躬「揚羽は馬鹿だぞ」

紅「……無理だな」

鳳「私が手引きしたのよ」

弩躬「なるほど、そいつは完璧……はぃっ?!」

鳳「出たがってからね」

弩躬「えぇ……なんなんすかソレ」

鳳「いいじゃない。春休みなのに缶詰状態で勉強なんてつまらないだろうし」

弩躬「そりゃそうですけど……」

鳳「弩躬だって出かけて息抜きになったでしょう」

紅「そこまで考えて……」

鳳「いいえ、その辺りは成り行き。」

弩躬「……」

紅「ボソ(わりとアバウトな人だな)」

鳳「アバウトじゃなくて臨機応変といって欲しいわね」

紅「(聞こえてたよ…)」

鳳「ふふふ、なんにしてもアナタも協力してくれたのね。ありがとう」

紅「いえ。成り行きです」

鳳「それで、弩躬、帰って来ていきなりなんだけどお仕事してもらおうかしら」

弩躬「買いだしですか?それとも本堂の掃除……?」

鳳「鬼を倒してきてくれないかしら」

弩躬「……は?」

鳳「ふふっふふふ。」
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