ー新伝ー伝説を継ぐもの

ー陵桜学園高等部図書室ー

独「人違いって…ものすごい勢いで連れて来られたんだけど」

雫「だって、ノッポの貞子髪でだらしない服装のひとっていうから。」

伏見「そんな言い方はしていなかったけどね」

独「初対面の娘にノッポで貞子髪でだらしないとか言われた…」

釘夜「たいがい合ってるじゃないか」

独「え、そんなだらしないかな。前髪だって、貞子とかいうほどは長くないし」

雫「やっぱりこの人じゃないの?」

白嶺「違うわよ。あのひとはもっと後ろの髪も長いし、シャツが必ず和柄のものよ。それに本人が違うっていってるでしょ。えーと、孤独さんだっけ?」

独「独!天涯独です!」

釘夜「みんな孤独っていうから、そっちで良くないか?」

独「よくねぇよ!一生独り身みたいに聞こえるだろ。」

雫「面白いね」

独「えぇ…なにが…」

白嶺「はぁ…ワケわからなくなったてきたわね。」

独「……あの、なにかあったのか?」

白嶺「……聞いてどうするの?」

独「いや、とりあえず話を聞けっていうのが我が家の家訓なんで。」

白嶺「変わった家訓ね。」

独「俺もそう思うよ。」

白嶺「そんなふうに、話を聞いて厄介なことにまきこまれたりしない?」

独「……たびたび。」

釘夜「コイツがついてないだけな気もするけどな。」

独「……否定できないな」

雫「面白いね!」

独「君さ…さっきから面白い点がおかしくてないかな。」

伏見「彼女は少しズレてるんだよ。」

雫「そんなこと無いし!」

白嶺「私、もう行っていいかしら?」

独「あ、まだ話聞いてないんだけど」

白嶺「知らなくていいわ」

雫「えと、昨日池袋で発砲事件があって、社長が逮捕されちゃったの。それで、タタナシユウって先輩を探そうって…」

釘夜「?」

独「?」

白嶺「はぁ…」
ギュウウゥ

雫「あうぅいひゃいよぉ!ひゃんでほっへはひっはうのぉ(あうぅ、痛いよぉ!なんでホッペ引っ張るのぉ)」

伏見「姫島さん、いきなり話したらダメだよ…。」

独「発砲事件…っていったら」

釘夜「俺らがいたあそこだよな。」

白嶺「なにか知ってるの?」

独「知ってるっていうか……オッサンが喧嘩してて、銃声が聴こえたんだ」

釘夜「そのあとは人混みに埋もれて、警察に誰かが連れていかれたのを見てたよな。」

白嶺「……そう。」

独「けど、最初揉めてたひととは違うひとだったよな。」

白嶺「ちょっと待って、あなた見たの?銃を撃った犯人を」

独「いや…犯人かどうかはわからないけど、三十代後半?くらいのオッサンが走っていくのは見たかな。」

伏見「証言としては弱いか…。けど、目撃者としてはいいかもしれない。」

独「?」

白嶺「……待って。小鳥遊先輩を探してからにするわ。えと、貴方、携帯番号交換してくれない。」

独「はぁ、いいけど……あれ?」

白嶺「どうかした?」

釘夜「また、携帯忘れたのか…」

独「みたいだ。」
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