ー新伝ー伝説を継ぐもの【2】

ー池袋界隈ー

紅「……」

長髪の女「……」

紅「なぁ」

長髪の女「びくっ」

紅「悪いけど……バレてんだよな。着いてきてんの。なに家着きとめて警察にでもタレコム気か?」

長髪の女「……」

紅「……ふぅー。しかたない、泣かすか」

長髪の女「ち、違うんです」

紅「ん?」

長髪の女「その、私……お金無くて……。電車賃が……」

紅「はぁ?どうやってここまで来たんだよ」

長髪の女「送ってもらって……」

紅「歩いて帰れ」

長髪の女「そんなぁ…」

紅「なんだよ。さっきまではギャーギャー騒いで元気だっただろ。あれだけ元気なら歩いてだって帰れる」

長髪の女「私のウチ遠いんだもん」

紅「だったら、タクシーで帰って家着いたら払えばいいじゃん」

長髪の女「それは……」

紅「あぁ、アレか。せめて金でもせしめてやろうとかそういう考えか?」

長髪の女「……うぅっ」

紅「泣いてもいいけど俺はもう行くぞ眠くて仕方ないんだ」

長髪の女「ま、待って!あの、お願いです!!助けてください」

紅「ヤダ」

長髪の女「……いやいや、ちょ、待てっよ!普通話くらい聞かない?!」

紅「知り合いにめちゃくちゃトラブルに巻き込まれる奴がいるから余計な事には極力関わらないことにしてんの」

長髪の女「だからって……」

紅「だいたいさ、俺とお前って知り合いでもなんでもないし。」

長髪の女「あんなことしといてよくいうわねっ!!」

紅「お前には何にもしてない。」

長髪の女「なにもって……」

紅「殴ってもないし、橋したで泳がせてもない。あえて言うなら犯されてもない。五体満足なんだ悪いことはいわない歩いて帰れ。」

長髪の女「……ホントに困ってるの助けて」

紅「……」

長髪の女「……」

紅「電車代出せば帰るんだな」

長髪の女「うんっ!」

紅「いくらだ?」

長髪の女「三千円」

紅「なんでやねん」

長髪の女「お願いします!何もいわずに三千円貸してください!!」

紅「おかしいじゃん。電車賃って話しだったのになんで急に三千円の貸しになってんだよ」

長髪の女「困ってるの!!」

紅「こっちはお前に困ってるよ……。マジでいい加減にしてくれねぇと……千夜ちゃんじゃないけど蹴るぞ」

「その人蹴られたら困るなぁ。」

紅「は?」

長髪の女「げっ……」

弩躬「探しましたよ。お嬢さん、頼みますから妙な時間にうろちょろしないでくださいよ。」

紅「お前……弩躬」
88/100ページ
スキ