ー新伝ー伝説を継ぐもの【2】

ー魔天楼ー

凍夜「ふぅん……それで?」

窈「いってた通り大金を手に入れた拳二は崇と氷室と折半。俺には本当に一円も入らなかった」

凍夜「ま、それもいってた通りだね」

窈「いってた通りだけど……ふつうさぁ、最後にちょっとくらい分け前くれてもいいと思わないか?」

凍夜「抗議はしたのか?」

窈「できないって。」

凍夜「それじゃ仕方ない。まぁ、きっと抗議したところで分け前があったとも限らないけど」

窈「はぁ、借金返済のあてにしようと思ったのに。」

凍夜「はは、確かに最初の大きな返済以降は決して大きな額を返せていないな」

窈「笑いごっちゃ無いっての」

凍夜「何事もコツコツ真面目が一番。本業を頑張って返済に努める方がいんじゃない?」

窈「うーむ……。なにもいい返せない正論。っていうか、凍夜はギャンブルとかしないのか?」

凍夜「時間つぶし程度にパチンコとかはするけどのめり込む方じゃないね。」

窈「俺はそっちは全然だな」

凍夜「増えるかどうか分からない事で浪費するより、夜のお店で使う方が好きかな」

窈「キャバクラか」

凍夜「そうそう」

白嶺「コホン」

凍夜「ヨミちゃん、気にしないで」

白嶺「飲み疲れてつぎの日、二日酔いでダウンしなきゃ別に気にしません」

凍夜「あはは……」

窈「まるでお母さんだな」

白嶺「そんな大きな子供はいりません」

凍夜「しっかりしてるからいいお嫁さんにはなりそうだけどね」

窈「あ……嫁さんで思い出した」

凍夜「ん?」

窈「いや、仕事関係の人から結婚式の招待が来ててさ。めんどくさいけど出席しないといけなくて」

凍夜「ご祝儀もしっかり支払うんだよね。」

窈「ちゃんと包むよ」

凍夜「貸そうか?」

窈「本当にピンチになってたら改めて借りに来る。」

凍夜「どうぞ、どうぞ。ちゃんと返してくださるならウチはご融資いたしますので」

窈「はぁ……」

凍夜「そういえば話しは変わるけど、崇君は結局どうなったの?」

窈「さぁ……死ぬようなタマじゃないだろうけど、あの日の夜からはあってない。」

凍夜「そっか。けど、俺もみたかったな。人間が熊を倒す瞬間」

窈「リアルスプラッタだぞ。脳みそとか飛び散ってたし」

凍夜「うーわ……。それはちょっとキツイ」

窈「だろ?っと……もうこんな時間か。仕事に戻らないと」

凍夜「今から?」

窈「書類仕事が溜まりに溜まってるんだよ」

凍夜「なるほど、それじゃ頑張って」

窈「あぁ、また愚痴りにくる」

白嶺「返済のほうも忘れないでください。」

窈「はは、分かってるって。」
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