ー新伝ー伝説を継ぐもの【2】

ー蒼天塔:控室ー

清明「まさか、俺がシャワータイム中にそんな騒ぎになってたなんて……」

崇「気にするなお前のせいじゃない」

窈「けど、まさか乗ってくるなんてな……」

匠「内容を大きく塗り替えて……一騎討ちの一発勝負……」

氷室「虎狗琥崇VS謎の対戦相手っていうカードは無名闘士との闘いより大きな注目とお金が動きますからね。一旦賭け金が払い戻されたくらいですし」

匠「ってことは……」

氷室「えぇ、瓦谷さんは崇さんにフルベット(全額賭け)に行きました」

窈「大丈夫なのか?」

崇「さぁな……」

窈「さあなって……アンタがまともに動いてるところなんて見たことないんだぞ」

崇「そうだな。俺もこのごろは運動不足だ。」

窈「……」

麒麟児「……あれ?」

匠「どうした?」

麒麟児「俺の出番は?」

匠「……それどころじゃないし」

麒麟児「マジか…」

匠「おまえなぁ…もうちょっと緊張感持てよ」

麒麟児「なんでだ?」

匠「なんでって」

麒麟児「だってもう俺は出番ないんだろ。緊張とか心配するのは俺じゃなく崇だろ」

清明「……」

匠「おまっ?!す、すいませんコイツ……」

崇「くくっ。なかなか肝が据わっていていいじゃないか」

清明「本郷殿は呼びますか?」

崇「そうだな。ひと汗かいたらすぐに風呂に浸かりたい。本郷に車の手配をさせておいてくれ」

清明「了解。……ということだ。」

走「了解でっす!ひとっ走りいってきますっ!!」

清明「……携帯で連絡しろって意味だったのに」

崇「くくっ、元気な奴だ。」

清明「それにしても長いな……」

窈「そうだな。かれこれ三十分は経ってるぞ」

匠「いったいなにしてるだか……」

麒麟児「対戦相手でも探してるんじゃないか?」

窈「探してるって……」

氷室「ありえないとも言い切れませんよ。崇の相手とくんだうえで、この提案を飲んだのですからね」

崇「あまり嚇かすな。怖くなるだろ。くくっ」

窈「全然そういう風には見えないんだが」

崇「お前は感受性が低いみたいだな」

窈「どういう意味だよ」

氷室「なんにしても気をつけてください。なにを用意してくるかわかりませんよ」

崇「せいぜい狙撃されないように祈るさ」

匠「あの……一応聞きますけど」

崇「なんだ?」

匠「セコンドは?」

崇「いらん」

匠「ですよねぇー」
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