ー新伝ー伝説を継ぐもの

ー陵桜学園高等部図書室ー

伏見「それは出来ないよ。」

雫「なんで、なんで?」

白嶺「……」

伏見「仮に彼女が社長さんの無実を証言したとして、白嶺さんと社長さんの関係がバレてしまうよね?未成年である彼女が深夜まで、しかも金融会社で働いていた……なんてことが解れば完全に逮捕されるし、彼女だって何らかのペナルティがあるかもしれない。」

白嶺「それは勘弁だわ。会社と社長はともかく、私の身の安全が第一だし」

伏見「はっきりいうんだね…」

雫「COOL」

白嶺「淡白なだけよ。あとめんどくさいのは嫌なの。それで?」

伏見「ん?」

白嶺「なにかもうひとつ手があるんでしょ。」

伏見「……手があるというより、もしかしたらの話だよ。」

白嶺「前置きや出し惜しみは止めて。私はそういうチマチマは嫌いなの。」

伏見「わかったよ。小鳥遊悠の名前は知ってる?」

白嶺「…えぇ。知ってるわ」

雫「たたなしゆう?」

伏見「たかなし。」

雫「誰?」

伏見「三年の先輩だよ。何度か朝礼や集会で見てるはずだよ?」

雫「わかんない」

伏見「……」

雫「それより、そのたたなし先輩とこの話しとどうつながるの?」

伏見「小鳥遊悠、年齢18歳、学生。他称トラブルシューター。秋葉原では闘路の頭をやって池袋ではトラブルシューター、最近では新宿の方にも出向いてるとか……。彼がトラブルシューターの他称を持つのは今までに大小問わずに街のトラブルに関わってきたから。それも金をいっさい取らずのほぼボランティアで解決してきた。ただ…」

雫「ただ?」

伏見「まるで一切の功績が残ってないんだよ。」

雫「えと?どういうこと?」

伏見「そういう噂があるだけで誰も事実史実を知らない。中には表彰されてもいいようなトラブルを解決したなんて話しもある。だけど、そんな話は一切表に出ていない。だから、都市伝説みたいな話なんだ。」

雫「じゃあ、本人に聞いてみたらいいんじゃないの?」

伏見「まぁ、そうなんだけど、なかなか話せる人じゃないしね。学校にいるときの方が少ないらしいし。」

雫「どんなひと?」

伏見「外見は顔が見えないくらい長い髪。長身、だらしない服装…くらいかな。」

雫「なるほどーよしっ」
ガララ…

白嶺「小鳥遊悠の噂は知ってるし、私もみたことあるけど…。」

伏見「そんなすごい人には見えないんだよね。まぁ、噂は噂。眉唾物な気はするけど」

白嶺「その眉唾物に頼んでみろっていうの?」

伏見「白嶺さん、可能性のひとつをいってるだけで…」

雫「ただいまー見つけたよ!!」

伏見「え?」

白嶺「は?」

雫「この人だよね。長身、前髪、だらしない。たたなしゆうって」

釘夜「ソイツは天涯孤独って名前だぞ」

独「孤独じゃない、独だ。っか……いきなり連れてこられたんだけど。なに?」

伏見「いや、すまない。ひと違いだ」

雫「あり?」

白嶺「はぁ…」
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