ｰ原宿:アクティヴリープｰ

氷室「それでは皆さん……お疲れ様でした。」

麒麟児「おう。」

匠「おうって…。」

独「あれ?炎銃さんは?」

氷室「彼女は脱出した時点で帰りましたよ。多分、崇に報告しに行ったのでしょう」

麒麟児「崇にか……誰だ?」

匠「分からないのに知った風にいうな」

独「それにしてもよく無事でしたね」

氷室「ぎっりぎりでしたけどね。柏さんの出現も予想外でした……。独君が機転を利かせて連絡をくれましたから鉢合わせせずに済みましたけど。」

匠「何者なんです?」

氷室「警察の方ですよ。全然そうは見えないですけど」

独「ヤクザの仲間かと思ってた…」

氷室「やり口はヤクザより性質が悪いですよ。国家権力の利点だけ利用して、ダメな部分はアウトローにしますから」

匠「うわ…」

氷室「けれど、柏さんのがさ入れが入るならあそこも終わりです」

麒麟児「思ったんだけど、それなら氷室が行く必要無かったんじゃないか?」

氷室「本当にそのとおりです。王さんには会ってしまいましたし骨折り損のくたびれ儲けですよ。」

独「はは…。」

氷室「皆さんにも迷惑を掛けてしまいましたね。」

麒麟児「面白かったからいい」

匠「まぁ、あの連中には俺らも迷惑してましたしいい気晴らしにはなりましたよ」

独「一件落着か…。」

氷室「私はこれからが本番ですけどね」

独「え?」

氷室「市街のバイヤーはとりあえず潰せませたけど、ことの大本たるは蒼天塔ですからね。私も早く闘技チームを結成させないと」

独「大変すね」

氷室「そうでもないですよ。好きでやってることですからね」

麒麟児「良くわからないけど、何か必要なら手は貸すぞ」

匠「お前は簡単にそーいうこというな」

氷室「ふふ、心強いですね。でも、今はとりあえず休みましょう。とんでも無いことの連続で疲れたでしょう」

匠「えぇ……足斬られてるヤツが居るは、三階から平気で飛び降りてくるヤツいるは……」

氷室「王さんですね。一日も早く忘れることをお勧めします」

匠「アレはなんなんすか?」

氷室「なにといわれても……ひとの形をした何かでしょうね。」

独「ひとの形をした何か……?」

氷室「私もね色々とヤバい人はしています化け物や人外と冗談に比喩することも沢山あります。ですが……その冗談を抜いてあれは人間の皮を被ったナニカです。」

独「ナニカ……」

氷室「というか一つの天災とでもいった方が良いかもですね。台風や豪雪、地震、そういうものと「差別」していいナニカ。気まぐれなのでいつどこで起こる(現れる)か分かりませんし」

麒麟児「強いのか」

匠「どうみても強いひとだっただろ?!」

氷室「なにを持って強いを指すのかにもよりますが……対生き物って意味でならまずこの世界中でもトップに入るんじゃないでしょうか。幼稚な言い方ですが生き物としては最強、むしろ新人類的な存在かも知れませんよ」

麒麟児「新人類…」

氷室「個として人間は非常に弱いです。虫のような俊敏性、鳥の様な羽、獣の様な巨体、あらゆる生物の持つ特殊な能力はほぼ有りません。人は人へ至るまでにあらゆる能力を捨て知識や技術を得ました。ですが、王さんのように特異な者が現れ出したのは新人類という方がわかりやすいですからね。」