ー新伝ー伝説を継ぐもの【2】

ー窈の家ー

窈「御苦労」

熊彦「まったくだ。車事務所に持って帰らないといけない俺の身にもなってくれよな……。」

窈「じゃあ、車うちに置いてく?」

熊彦「そうしたら俺は徒歩で帰らなきゃいけないだろぉが……」

窈「こっからだと徒歩で帰って方が時間かかるのか?」

熊彦「う~ん……そんなに差は無いだろうな」

窈「じゃあ、やっぱり車で帰った方が良いだろうな」

熊彦「はぁ…」

窈「それじゃ、お疲れさん」

熊彦「いつか刺されるぜ。絶対に」

窈「あはは。夜道には気をつけるとするよ」

熊彦「じゃーな」

窈「はいはい……さてと、シャワーでも浴びようかな……?!」

トッ
「……動かないでもらおうか」

窈「誰だい……人ン家に無断に入って背後とるなんて」

「…………ぐさり!」

窈「っ…」

「なんちゃって、驚きましたか?」

窈「アンタ……。」

氷室「どうも、こうしてちゃんとお話しするのは初めてでしたかね?」

窈「……氷室薫、さっきは助かったよ」

氷室「いえいえ、それより知ってもらえていましたか」

窈「こっちじゃアンタほどの有名人は早々いないよ」

氷室「あはは、ご冗談を。有名というのでしたら小鳥遊窈さんもでしょう。見てくださいこの雑誌なんか敏腕プロデューサーの記事が載ってますよ。」

窈「(さっき背中に突き付けて来たのは雑誌だったのか)あること無いこと書いてるから信ぴょう性は低いよ。その雑誌。俺がオススメするのはストリートビートかな。芸能記事はほとんど乗ってないけど」

氷室「そちらも読んでますよ。悠さんのコラムが載ってる時だけですけど」

窈「そう。悠なら隣の家だぞ」

氷室「もちろん存じています。さっきまで皆さんとお茶をいただいていましたから。悠さん本人はご不在でしたけどね」

窈「……それで、いったい何のご用かな?まさか、世間話をしに来たわけじゃないよな?」

氷室「もちろんです。実はですね……今日もめていた方、麒麟児さんと再戦していただきたいのです」

窈「それは……驚いたな」

氷室「そうですか、それは良かったです」

窈「良かったんだ……なんで、またアンタが再戦のプロデュースしてるんだ?」

氷室「ふふ、プロデューサーにプロデュースなんて言われるとは思いませんでしたよ」

窈「なんか……貴音と話してるみたいだ」

氷室「まぁ、単入にいいますと」

窈「たんにゅうってなに?!」

氷室「単刀直入を略して単入です」

窈「はぁ、じゃあ刀直にいってなんですか?」

氷室「……」

窈「……なにか?」

氷室「いえ、悠さんのコピーを目指してたわりに、ボケのセンスはいまいちですね」

窈「ほっとけ!」

氷室「ふふ、アナタと話す前に彼と少し接触したのですが……まぁ、色々ありましてちゃんと決着をつけたいとの事でして」

窈「すっごく端折ったよね。絶対、大事な部分を端折ったよね」

氷室「細かいことはいいじゃないですか。事の発端は窈さんに原因があるわけですし。」

窈「うっ……。」

氷室「厄介事(トラブル)担当の悠さんに告げ口してもいいのですが、大人なら自分の尻は自分で拭くべきではないでしょうか?」

窈「サラッとキツイこというなぁ…。それに、悠には黙ってて欲しい」

氷室「では、いいですね。日時は追って連絡しますから。番号いいですか?」

窈「拒否権はないじゃん…」

氷室「私は別にかまいませんよ。悠さんの家はちょうど隣ですし」

窈「はいはい、喜んで再戦させていただきますよっ!」
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