ー新伝ー伝説を継ぐもの【2】

ー車内ー

熊彦「でも、どうする気だ?」

窈「んっ?」

熊彦「んっ?じゃないだろ。麒麟児って奴だよ」

窈「あぁ……まっ、しばらく原宿のあたりウロウロしなきゃ問題無いと思うけど……」

熊彦「なんだよ。放置かよ」

窈「今のところはいいかなと思ってる。あんまり悠の名前使って動くと本気で怒られかねないし」

熊彦「別に今更、悠の名前使わなくてもいいだろ。お前の喧嘩だお前が処理しろよ」

窈「うーん……。」

熊彦「なんだ、さっきから歯に物の引っかかったような反応して」

窈「反芻してる」

熊彦「はんすう?」

窈「意味分かってるか?」

熊彦「う、牛とか…」

窈「ひとつ一度飲み下した食物を口の中に戻し、かみなおして再び飲み込むこと。っで、もう一つは繰り返し考え、よく味わうことだ。」

熊彦「?」

窈「さっきから……いや、ずっとだな。何十と反芻してるんだけどな。」

熊彦「なにを言ってるかさっぱりついてけないんだが……。」

窈「ぶつかり合って投げたっていっただろ」

熊彦「いったな」

窈「俺の中では回避不能、いや、受け身すらとらせないような投げだった。」

熊彦「でも、着地したんだろ?」

窈「あぁ。」

熊彦「?」

窈「受け身も不可能な投げっていうのは意識してはの話しだ。」

熊彦「ああ!」

窈「わかったか?」

熊彦「全然」

窈「意識外からなら可能かも知れないってことだ。」

熊彦「はいはい、馬鹿にもわかるよーに説明してくれませんかねー!!」

窈「……偶然だよ」

熊彦「なにが?」

窈「ごめん、無益な暴力は嫌いだけど。つぎ「なんで?」っていったら殴るな」

熊彦「お前って将来DVで訴えられそうだな」

窈「俺は自分の女(幼女)に暴力を振るう気はない。むしろ、刺されても笑顔で無罪を主張し続ける」

熊彦「それはそれで狂ってるぽいぞ」

窈「つまりだな。あの麒麟児ってやつは意識外で行動してるとしか思えないんだ。殴る一点においても本当にぶん殴ってる一点しか考えて無い。他の事を考えて無いんだ。」

熊彦「それだと回避できないだろ」

窈「そうだ。だが、奴はそれをやってのけた。意識せずとも無意識に脳と身体がそれを可能にしたんだとしか思えないのさ。」

熊彦「つまり……自動防御ってことか?」

窈「……」

熊彦「まさかなぁ、怒るなよ。冗談なんだから」

窈「いい例えかもしれない。自動防御……自動回避……。」

熊彦「えぇ?!」

窈「何にしても……新しいタイプだ。俺のデータに今までにないな……。」

熊彦「……もしかしてヤバいのか?」

窈「ふふっ、どんなにヤバくても……悠以上の相手は居ないさ」
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